(池田 信夫:経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長)
2020年7月10日
 7月1日からスーパーやコンビニのレジ袋が有料化され、買い物のたびに「レジ袋はお使いになりますか?」ときかれるようになった。「使います」と答えるのはちょっと罪悪感があるが、これは何のためにやるのだろうか。

 よくいわれるのは「プラスチックは分解しないから海のごみになる」という話だが、海のプラスチックごみのうち、ポリ袋は0.3%しかない。さらにプラスチックに使うのは石油の2.7%だ。それが分解しないというのも誤解である。プラスチックの成分は石油と同じだから、燃やせば分解できるのだ。

プラスチックは「燃えないごみ」なのか
 この背景には海洋ごみの問題がある。「このままでは2050年には世界の海のプラスチックは魚の総重量を超える」と騒がれ、環境団体は「2050年では遅すぎる」とプラスチックごみゼロを求めている。

 2019年6月のG20サミットでは、2050年までに新たな海洋プラごみ汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意され、日本政府は「2030年までに使い捨てプラスチックの排出を25%抑制する」などとするプラスチック資源循環戦略をまとめた。今回のレジ袋有料化はその戦略の一環である。


 日本は国民一人当たりのプラスチックの容器や包装のごみの量が世界第2位で、レジ袋も1日1枚は使っているといわれる。これをなくす「意識変革」をしてもらおうというのが政府のねらいだ。

 プラスチックごみは、廃棄物処理の最大の問題だった。1960年代からプラスチックの消費量が増えたが、当時のごみ焼却炉ではプラスチックを燃やすと高温になって焼却炉がいたむので「燃えないごみ」として分別することが義務づけられた。

燃えないごみは産業廃棄物でも深刻な問題になった。ごみ焼却場があふれて処理できなくなり、不法投棄する業者が後を絶たなかった。不法投棄には刑事罰が課されたため、プラスチックごみは中国に輸出されるようになった。しかし2018年に中国がプラスチックごみの輸入を禁止したため、プラスチックごみ処理が行き詰まった。

 しかしこの話は、よく考えるとおかしい。高校でも習うように、プラスチックのような有機化合物は炭素と水素でできているので、燃やすと酸素と結合してCO2と水に分解するはずだ。なぜプラスチックは燃えないごみとして分別するのだろうか。

「ポリ袋は実はエコなんです」

長いので以下ソース
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61243?page=2