毎日新聞2020年9月4日 11時24分(最終更新 9月4日 11時25分)



 学問の神様・菅原道真を祭る北野天満宮(京都市上京区)で4日、疫病や災害をもたらすとされる祭神の怨霊(おんりょう)を鎮める祭礼「北野御霊会(ごりょうえ)」が約550年ぶりに神仏習合で再興された。天台宗総本山・比叡山延暦寺(大津市)の高僧らを招き、国宝の本殿で天台宗最高の修行とされる法華経の問答「山門八講」もあり、新型コロナウイルスの早期終息などを祈った。

 同宮が進める、いにしえの儀式復興の一環として「コロナ禍の状況下にこそ」と6月、延暦寺に開催を打診していた。この日は、延暦寺の森川宏映(こうえい)・天台座主ら僧侶の一行を橘重十九(しげとく)・宮司ら神職が迎えた。橘宮司が祝詞、森川座主が祭文を読み上げるなどして神式と仏式で世の平安を願った。

 北野御霊会(北野祭)は987年に天皇の使者が派遣される勅祭として始まり、応仁の乱(1467〜77年)で途絶えた後、それまでとは異なる形式で実施されてきた。明治維新直前に「北野臨時祭」として再興が試みられた時期もあったが、明治初期の神仏分離で境内での仏事は途絶えていた。【矢倉健次】

https://mainichi.jp/articles/20200904/k00/00m/040/055000c