ネコと日本人が歩んできた歴史を紹介する福井県の美浜町歴史文化館の企画展「ネコ踏んじゃった!?」がこのほど、同館で始まった。町内で見つかったネコとみられる動物の足跡付きの須恵器片を初めて公開している。足跡付きの土器片では最古級の古墳時代後期(6〜7世紀)のもので、同館学芸員は「国内でのネコの生息時期を知る上で貴重な史料」と話している。11月29日まで。

 須恵器片は2018年10〜12月、興道寺廃寺跡周辺の発掘調査で見つかった。円墳の周溝から土器片約10点が出土し、そのうちの一つの須恵器杯に大きさ約2センチのくぼみを確認。形状がネコの肉球に似ているほか、爪の跡がなく、歩く時に爪を隠す特徴があるネコの足跡と推測。屋外で乾燥させていた時に踏まれたとみられる。

 同館の松葉竜司副館長によると、ネコとされる生き物の足跡がついた土器は国内に3点見つかっている。そのうち、同様の足跡が付いた古墳時代の須恵器は、07年に兵庫県姫路市の古墳で見つかったものしかないという。

 松葉副館長は「近年の発掘調査で国内のネコの生息時期は弥生時代中期(紀元前2世紀〜紀元1世紀)にさかのぼるといわれているが、十数年ほど前までは奈良時代(8世紀)以降とするのが定説だった。8世紀以前のネコに関する国内の史料は少なく貴重」と話す。

 企画展では、美浜町と姫路市で見つかった足跡付きの須恵器のほか、日本のネコの伝来を探るパネルなど約40点を展示。放し飼いのネコの盗難や売買を禁ずることを示す若狭の地誌の写真やイヌをかたどった古墳時代の土製品なども並べている。月曜休館。

9/29(火) 12:23配信
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