元総務大臣で、内閣府特命担当大臣(男女共同参画)などを歴任した野田聖子さんは今年9月、自由民主党の幹事長代行に就任した。野田さんは32歳で衆院議員に初当選して以来、当選回数は菅義偉首相を上回る9回。27年間、政治の世界で女性活躍の道を切り開いてきた。しかし政界はいまだ男性ばかり。衆院議員の女性比率は10.1%、菅内閣でも女性大臣はわずか2人と、世界に比して性別の多様性が極端に低い日本の現状をどう捉えているのか。日経xwoman総編集長の羽生祥子が聞いた。

日経xwoman総編集長 羽生祥子(以下、――) 世界経済フォーラムが2019年に公表した「ジェンダー・ギャップ指数」は153カ国中、121位でした。特に政治部門は過去最低の144位。政治に女性がいないことが問題視されています。今年9月に発足した菅内閣は、女性大臣がわずか2人です。この現状を、どう捉えていますか?

野田聖子幹事長代行(以下、敬称略) 少ないですね。衆院議員は「国民の代弁者」です。国民の男女比は半々、高齢者になると7〜8割は女性ですから、議員の比率も同程度でないとお話になりません。こと自民党だけで見ると、女性議員は8%にも満たない。これは、ダメという以前の問題で、「間違っている」と言っても過言ではありません。

―― OECD(経済協力開発機構)が2019年に発表した、日本企業の女性役員比率も同レベルの8%でした。政治だけでなく企業もジェンダー平等に欠けています。

野田 自民党議員の女性比率は、日本の現状をよく表しています。上場企業、弁護士会、新聞協会も同程度ですよね。衆院議員は、あくまでも有権者の意思の反映ですから、自民党が「女性比率を4割にしたい」と言っても、すぐには変えられません。むしろ本来は、トップダウンで決められる民間企業こそがジェンダー平等を主導していくべきです。ステークホルダー(利害関係者)のために、ボードメンバー(取締役)に女性を入れたほうがいいことは、収益などの点から科学的に立証されているにもかかわらず、多くの企業が「役員の男女比を同等にする」経営判断をできていません。

私はもともとクオータ制の推進論者
―― 議員や閣僚などの一定数を女性に割り当てるクオータ制については、どうお考えですか?

野田 私はもともと、クオータ制の推進論者です。しかし、女性の議員候補者はいるのですが、自民党最大のジレンマは現在、おかげさまで議席をたくさん持っているため空きがないこと。空席の選挙区があれば、そこに女性議員を割り当てられますが、現状でクオータ制を導入して、女性議員の議席を割り当てると、現職の男性議員の権利(議席)をはく奪することになってしまいます。

―― 女性の議員候補者は、たくさんいるとは思えませんが。

野田 多くはありませんね。「女性大臣が少ない」と嘆いている女性こそ、選挙に出てよって、いつも思います。候補者が少ない理由の一つには、女性特有の自己肯定感の低さがあります。もう一つは、女性に対する世間の過小評価、スカートをはいているだけで7掛け、みたいなイメージが邪魔をしていると思います。

 とはいえ、私が衆院議員になった27年前は自民党の衆院議員では女性が1人だったから、マイノリティーどころか「珍獣」扱いでした。その後、田中真紀子さんが入ってきて、「天然記念物」扱いになりました。女性議員数が2桁まで増えた現在は「絶滅危惧種」くらいにはなっている。そして今ようやくインキュベートされてきたから、うまくメンテナンスしていけば、増やしていけるのではないかなと思います。

―― 具体的にどうすれば、さらに女性議員を増やせますか?

野田 政治には、特殊な専門技術はいりません。必要なのは、有権者に支持されて、選挙に勝ち抜くスキルだけ。お金や学歴、容姿といった条件ではなく、有権者との信頼関係に尽きます。私は東大も出てなくて、キャスターの経験もないのに、生き残れました。それは、決してうそをつかない、等身大の姿を見せるなど、人として当たり前のことをやってきたからです。そんな女性候補者を増やせれば、議員は増えます。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/6c99d8404651d1885463c4a6e3b8f3cb8c314fad?page=1
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