東日本大震災で多くの児童や教職員が犠牲となった宮城県石巻市の大川小学校で、今年度、新たに就任した学校の校長を対象にした研修が行われました。震災の発生から来年で10年となるなか、宮城県教育委員会が現地で教職員の研修を行うのは初めてです。

石巻市の大川小学校は、9年前の津波で児童と教職員、合わせて84人が犠牲となり、遺族の一部が起こした裁判では、県と市に賠償を命じ、防災対策の不備を指摘した判決が去年10月に確定しました。
宮城県教育委員会は教訓を防災対策に生かそうと、現地で教職員の研修を行うことになり、初回の4日は、今年度、新たに県内の小中学校や高校などの校長に就任した90人が参加しました。

講師は、当時6年生だった次女を亡くした元教員の佐藤敏郎さんらが務め、佐藤さんは「震災前の大川小学校の姿や、自分の学校を思い浮かべてから今の校舎を見てほしい。あの日に、ふたをするのではなく、しっかりと向き合って、一人一人の児童がどんな顔で避難したか想像することが防災につながっていく」と語りかけました。

県教育委員会は来年度以降、新たに採用されるすべての教職員に対象を広げ、研修を行う方針です。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201104/k10012694961000.html