https://mainichi.jp/articles/20201119/k00/00m/040/025000c
 長野市は18日、長野遺跡群東町遺跡(同市東町)から、矛を持つ鳥装のシャーマンとみられる人物を描いた
弥生時代中期後半(約2000年前)の絵画土器を発見したと発表した。
同市によると、過去に鳥装人物の絵画土器は全国で10例ほどが出土しているが、東日本では初めて。
同市埋蔵文化財センターの大井久幸所長は「長野盆地において西日本的な農耕祭事が行われた可能性を示す重要な資料になる」と述べた。

絵画土器は高さ42・4センチ、口径19・7センチのつぼ。鳥装人物は高さ11・5センチ、幅6・4センチで、へら状の工具で彫られていた。
右手に「戈(か)」と呼ばれる矛の一種で、柄に対して直角の刃部を装着した武器を持つ。
頭部は欠損しているが、首から上には羽の頭飾りを着けている。長野県北部で出土する土器と共通した文様の円形模様も描かれていた。

長野遺跡群は縄文時代から近世の集落遺跡。
東町遺跡は約2ヘクタールにわたり、1996年度から発掘調査を始めた。
竪穴住居跡から1個体分の土器の破片がまとまって出土し、接合作業で絵画が描かれていることが分かった。
赤色顔料が付着しており、赤く塗られていたと推測している。

絵画土器の半数以上は近畿地方で出土しているといい、東日本では希少。
北陸地方を通じて絵画が伝わったとみられる一方、市は西日本と異なり、盾がなく円形模様がある点を強調。
「西日本的な農耕祭事が独自に発展、定着した可能性」を指摘する。県内では柳沢遺跡(中野市)で鹿を描いた土器が確認されており、2例目。

絵画土器は、12月4日〜来年2月23日に市立博物館(同市小島田町)で開催する展示会「私たちの町の考古学」で一般公開する。

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