緊急事態宣言再発令により飲食業界が再び窮地に

 菅義偉首相は5日の自民党役員会で、首都圏1都3県に2度目の「緊急事態宣言」の再発令を7日に決定する方針を表明した。感染リスクの高い飲食店などを対象として限定的に対策を講じる方針で、期間は1ヶ月程度を軸に調整すると報じられている(参考記事:時事通信社 2021年1月5日)。

 菅首相は4日の会見でも「経路不明の感染原因の多くは、飲食によるものと専門家が指摘をしております」と発言。感染原因の多くが飲食店によるもので、今回は飲食店への対策を重点的に行う事を示唆していた。

 昨年4月に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象にして発出された「緊急事態宣言」はその後全国に拡大。仕事は極力テレワークにシフトすることと、不要不急の外出を極力控えるように要請し、私たちのライフスタイルは大きく変わっていった。

 緊急事態宣言措置については、それぞれの地方の実態に合わせて各地方自治体に決定の権限があるが、前回の緊急事態宣言下における各自治体の対応を振り返るに、概ね横並びの状況であったと感じる。やはり東京を一つのモデルとして、各自治体が準ずるかローカライズしているケースがほとんどであった。

 飲食業界は観光業界やエンタメ業界と並び、新型コロナウイルスによるライフスタイルの変化に大打撃を受けている業界だ。だからこそこれまで高い感染拡大防止の意識を持った営業を続けてきた店が多い。「GoToキャンペーン」の影響もあって、少しずつ客足が戻りつつあった中での「緊急事態宣言」再発令は、飲食業界にとってさらなる打撃を与えることは必至だ。

飲食店でのパーティーションや検温、アルコール消毒は当たり前の光景になっている。飲食店でのパーティーションや検温、アルコール消毒は当たり前の光景になっている。
一般的な飲食店がクラスターになるケースは少ない
 今回のコロナ禍によって、飲食業界では閉店や廃業が相次ぎ、雇用も守れなくなっている。さらに食材の生産者をはじめとする取引業者や流通業者にもダメージを与えており、その経済的損失は膨大だ。日本の外食市場規模はおよそ26兆円、そのうちレストランなどの「営業給食」と居酒屋や喫茶店などの「料飲主体部門」の市場規模は22兆円ほどになる。これらの大半が消失してしまうばかりか、関連する産業の市場にも多大な影響を与えることになるのだ。

 今回の「緊急事態宣言」再発令における飲食店への対応はまだ分からないが、前回と同じくカラオケや接待を伴う飲食店への営業自粛要請や、酒類を販売する飲食店などに対しての営業時間短縮要請になるだろう。これによって一般的な飲食店では平時の売上と比較して9割減というケースが多かったが、今回も同様の状況になる可能性が極めて高い。

 しかしながら、一般的な飲食店での客における大規模なクラスター(Disease cluster、集団感染)が出た事例はそれほど多くはない。「国立感染症研究所感染症疫学センター」の専門チームによるクラスター解析でも、飲食店に対しての指摘は「カラオケを伴う飲食店」「接待を伴う飲食店」にとどまっており、一般的な飲食店は含まれていない。それよりも「医療機関での院内感染」や「職場での会議」の方が、はるかに私たちの生活に密着した環境だ(参考資料:国立感染症研究所感染症疫学センター「クラスター事例集」)。

年末の都内の風景。すっかりコロナは収束してしまったかの錯覚にとらわれる。年末の都内の風景。すっかりコロナは収束してしまったかの錯覚にとらわれる。
店側の対策よりも客側の意識が問われている
 私はフードジャーナリストという仕事柄、感染拡大防止に人一倍高い意識を持ちながらも、日々飲食店へ足を運ぶようにしているが、私が足を運んでいる飲食店の大半は感染拡大を防ぐために出来る限りの対策を取っている。入店時のアルコール消毒や検温に関してはもちろんのこと、パーティーションの設置や積極的な換気も行っている店がほとんどだ。

 しかし客側に目をやれば、平気で向かい合わせで大声を出しながら喋っていたり、お酒の回し飲みや料理の回し食いをし、まるでコロナが収束したかのような振る舞いをしている人も少なくない。特に若者を中心とした居酒屋などで散見されるが、これではいくら飲食店側が頑張って対策しても、その努力は一瞬にして水泡に帰す。

https://news.yahoo.co.jp/byline/ymjrky/20210105-00216156/
1/5(火) 13:18

前スレ
2021/01/05(火) 14:02
https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1609822965/