「致命傷ですよね。飲食店を経営しているのに、味がわからないとなると。自分で決めたレシピの味がわからないから新しいレシピも作れない」

 愛知県豊田市で居酒屋を経営する、小野田昌文さん57歳。

 新型コロナウイルスに感染し回復したにもかかわらず、味覚に異常があることがわかりました。
 後遺症です。

自慢の味が“わからない”「ずっと守ってきた味なのに」

小野田さんが新型コロナウイルスに感染したのは去年11月。
 41度の高熱や息切れなど「中等症」と呼ばれる症状で豊田市内の総合病院に入院し、12日後に退院しました。
 経営する居酒屋に戻り、自ら開発したおでんのだしを味見してみると…

「すごく甘くて。おでんのダシが。料理長に『入院中に味変えた?』と聞いたら『変えていません。大将のレシピ通りに作っています』と」(小野田昌文さん)

 そして、辛みそは「激辛」に感じたと言います。
 味の良し悪しを判断できず、新しい料理を開発することもできません。
 医師に診てもらったところ「新型コロナの後遺症」と診断されました。

「不安でした。いつ治るかわからなかった。僕のなかではダシが命で、ずっと守ってきた味なんです。治らなかったらどうしようって思いました」(小野田さん)

 味覚の異常は約1か月続き、今は以前の味覚に戻りつつあるといいますが、感染前と比べ疲れやすくなり、長時間の接客はできなくなりました。

「自分はかからないだろうと思っていました。でも新型コロナにかかってしまって、誰にでもかかるんだなと思いましたね」(小野田さん)

こうした新型コロナウイルスの後遺症を訴えるケースが相次いでいます。
 国立国際医療研究センターの調査では、退院した患者のうち7割以上がせきや倦怠感などの「後遺症がある」と回答。

 後遺症をオンラインで診察している専門家は、重症の患者でなくても後遺症が残る恐れがあると指摘します。

「私が診察した後遺症の患者は、当時症状はあったが重症ではなかった。そういう状況から後遺症に移っている」(北里大学 東洋医学総合研究所 小田口浩 所長)

(2021年2月10日 15:49〜放送『チャント!』より)

2/10(水) 20:56
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