<アメリカでは2011年にオバマ大統領が一般教書演説で優先課題に挙げるなど世界で注目されるSTEM教育。
ベトナムやアフリカの新興国も力を入れる一方、日本は大きく出遅れています。ITなしでは成り立たない時代を生き抜くために必要な力とは?>

今、アメリカが国家戦略として推進しているのが「STEM(ステム)教育」です。
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Math(数学)の略で、これからの社会で最も成長が著しい分野として人材育成が急務となっています。

STEM教育最大の利点は、社会で必要とされる実用的な技能を、教科の枠を越えて学習できることです。
従来の学校カリキュラムでは算数は算数だけ、理科は理科だけというように縦割りの教科領域しか学ぶことができませんでした。

しかしSTEM教育を取り入れることで、国語、算数、理科、社会、図画工作、コンピューターなどの教科で得た知識と技能を総動員して、
問題解決力や課題を発見する力など、社会のニーズに密着した実用的な力を鍛えることができます。
集団の中でそれぞれの技能を活かす

STEM教育と聞くと「理数系の難しい学問」という印象を持つかもしれませんが、コンピューターサイエンスやエンジニアリングへの関心を高め、
ITやハイテク関連の人材育成につなげることが目的です。

アメリカではSTEM教育は小学校からスタートします。
多くの小学校がロボティックスやレゴリーグなど「グループ単位」でSTEM技術を競い合わせる楽しいアクティビティを取り入れています。
子どもたちはデザイン、設計、制作、プログラミングなど、ロボット制作の工程を仲間と一緒に学習することができます。

グループ単位でSTEMに取り組む利点は、子どもたち一人ひとりの「強み」を活かせることです。
絵が得意な生徒はデザイン担当、コンピューターが得意な生徒はプログラミング担当、手先が器用な生徒は組み立て担当、
コミュニケーション力が高い生徒はチームのマネージメント役というように、子どもたちの特性を活かしながら、
共通のゴールに向かって協力し合う経験を積むことができます。

さらに小学生からSTEM教育を導入することで、主体的に学ぶ力、問題解決能力、質問喚起力、創造力、コミュニケーション力など、
実社会で使える技能を身につけることができます。

ロボット制作やプログラミングの過程では思い通りにいかない問題が多く生じます。それらをいかにチームの中で解決していくのか、
問題点を発見して、解決方法を模索していくチームワークを学ぶことができます。

ロボティックスやプログラミングにように根気と精度を要する作業は多くの日本人が得意とする分野です。
学校教育においてテクノロジーへの興味を引き出す仕組みを導入することができれば、STEM分野で突き抜ける人材育成へとつながることが期待できます。

■日本のSTEM教育は世界で最低レベル

日本の学校教育でもプログラミング教育が必修化され、STEM教育をカリキュラムに導入する動きが進んでいます。
しかし世界の潮流と比較すると、日本のSTEM教育は大きく出遅れていると言えます。

2012年にOECDが72カ国(または地域)の15歳の生徒に対して行った調査によると、
日本はインターネットとコンピューターの学校内外での使用について、ほとんどの項目において世界平均を下回っていることが分かりました。

中でも「学校外でコンピューターを使って宿題をする」と答えた割合はデンマーク、オーストラリア、メキシコの生徒が90%以上だった一方で、
日本の生徒はわずか9%で、調査国中で他を大きく引き離して最下位でした。

学校教育においてコンピューター使用(宿題や課題をコンピューターで行い提出すること)がほとんど要求されないことが要因ですが
、家庭においても子どもがコンピューターを使う機会を増やし、ITリタラシーを高める努力が必要です。

全文
https://www.newsweekjapan.jp/amp/stories/woman/2021/03/stem.php?page=3


https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1615432406/