現場知らない「コロナ専門家」への違和感の正体
200人超のコロナ患者治療した感染症医の疑問
東洋経済2021/03/27 7:00
https://toyokeizai.net/articles/-/418791
7ページの記事です。かなり省略しました。もちろんテレビ出演者批判も省略しました。詳しくはリンク先の記事で。



(略)(アビガンとイベルメクチンは効く証明がない。バッサリ斬る。)

現在、アビガンとイベルメクチンは、国内外で有効性を確認する臨床試験が進行中だ。未承認薬について岡教授は警鐘を鳴らす。

「アビガンが効く、というイメージが先行していますが、現時点では臨床試験で有効性は証明されていません。(略)



(略)(手指消毒よりも不織布マスクが重要だった。私(医師)の間違い。)

「1年前、私を含めて感染症の専門家は手指消毒などの『接触感染』対策を強調しすぎていました。もちろん手指消毒は必要なのですが、現在では『飛沫感染』が中心だとわかっていますので、会話、くしゃみ、咳などで飛ぶ微量な唾液にとくに注意しなければなりません。

1メートル以上の距離を取り、不織布マスクをしっかり着用すれば、十分に予防できる。ただし、飛沫を通してしまうウレタンや布マスクに予防効果は劣ると推定されています。フェイスシールドだけやマウスシールドはあまり意味がないので、不織布マスクを可能な限り選択すべきです。

飲食店で注意が必要なのは、マスクを外して密接し、『飛沫感染』に無防備になるからです。会話をしない、距離をとるなど対策を徹底しないと再び感染が起きると肝に銘じるべきです」

(略)



■人工呼吸器に対する「誤解」(人工呼吸器は治療回復の猶予を与える。治療回復じゃない。)

(略)

「実は人工呼吸器とエクモが、コロナを治すわけではありません。患者の回復力と薬で治るための時間を稼ぐための、生命維持装置なのです。

それに、肺が健康な状態で手術を受ける患者と、呼吸不全になっている重篤な状態のコロナ患者とでは、医師にとって人工呼吸器の管理に要求される知識、内容が違います。例えると、普通自動車の運転と、大型ダンプカーの運転くらいの違いでしょうか。

重症化すればコロナによる肺炎の治療をしなければなりません。ステロイド剤やリウマチの治療薬の使用など、専門性の高い治療薬を使うため知識と経験が要求されます。加えて徹底的な感染予防策を続けながらの治療です。感染症や集中治療の専門家が司令塔としていないと、重症者の救命を目指す質の高い診療は難しいでしょう」




(略)(東京医師会の提案を否定)

一方、開業医が中心となっている東京都医師会は、3月の定例記者会見で第4波に備える対策として、驚くべきプランを公表した。未承認薬のイベルメクチンを、PCR検査陽性となった自宅療養の軽症患者に投与、重症化を予防するというのだという。

これに対して岡教授は──

「治療薬がないから診られない、というのはおかしい。厳しいことを言わせていただくと、今でも医師の中には風邪に抗生物質を出している先生が少なくありません。これは大部分が適切とは言えない処方で問題になっていますが、何か薬を出さないと治療にならないという固定観念に囚われているからでしょう。同じく、効果があるかわからないアビガンやイベルメクチンが処方できれば解決する問題ではありません。

そもそも8割は軽症で自然に治る感染症ですので、軽症患者への投薬は慎重であるべきです。仮に副作用がなくても広く処方されると、イベルメクチンが有効な寄生虫治療に足りなくなる事態にもなりかねません。

重症化した場合、コロナの治療薬は、ステロイド剤のデキサメタゾンとレムデシビルが、すでに承認されています。現代医療の基本であるEBM(evidence based medicine:科学的根拠に基づく医療)では、質の高い臨床試験の結果が出てから使用するか判断するべき。もっと冷静に対応してほしいですね」?

(略)




■変異株も基本的な対応は変わらない(略)




(略)(感染症専門医が少ないことがわかた。医学部で育てて。)

新型コロナでは、感染症の専門医が不足していることが明確になりました。実は医学部で感染症科の講座がないところもあるのです。専門医を育てるには約6年間必要になるので、長期的な改善策の1つとして必ず取り組んでほしい」