https://mainichi.jp/articles/20210404/k00/00m/040/080000c

NHKが中継する東京オリンピックの聖火リレーの映像から一時的に音声が消える「異変」があった。
4月1日夜、聖火ランナーが長野市内を走っていた時だった。「オリンピックに反対」。
沿道で抗議行動をしていた市民の声が一瞬中継に入り込んだ。その直後、中継から音声が消えたのだ。
SNS上では、「都合の悪い音声」を消したのではないかとの声が出ている。真相を取材した。
 
聖火リレーの中継は、NHKの「聖火リレーライブストリーミング特設サイト」で見ることができる。
この特設サイトは聖火リレーの全日程をライブ中継しており、後からでもほぼ全てのリレーの様子を見ることができる。

NHKによると、国際オリンピック委員会(IOC)と東京オリンピック・パラリンピック組織委員会とNHKの3者合意に基づき、
NHKは聖火リレーのランナーの正面からの映像を単独で撮影している。その映像を組織委にも提供している。

音声が約30秒消える
 
長野市内の聖火リレーは4月1日午後7時過ぎ、名所「善光寺」本堂を出発して市役所前広場までの約2・5キロを
計12人が約30分かけてリレーした。特設サイトの映像を確認すると、第7走者の途中から約30秒間にわたって、音声が途切れていた。

次のような経緯だった。第7走者の男性の映像は計2分21秒。

▽第7走者の男性が登場し、聖火を引き継いで出発

▽出発(映像開始)から58秒後 「オリンピックに反対」「オリンピックはいらないぞ」と沿道の抗議の声が中継に入り込む

▽出発(同)から1分3秒後 中継の音声が消え、映像だけに。

▽出発(同)から1分30秒後 音声のボリュームが徐々に戻る。運動の地点を過ぎていたためか、抗議の声は聞こえない。

中継映像は30秒近くも無音状態で、異様な印象を受ける。ツイッターでは1日夜から、この映像が拡散され、
「不都合な発言」「異論を排除」などNHKに批判的な投稿が目立った。

取材を進めると、抗議行動を行ったのは、1998年の長野冬季五輪に反対した「オリンピックいらない人たちネットワーク(復刻)」
のメンバーら11人だった。五輪招致活動の段階から地域に根ざして活動してきた住民のネットワークである。


聖火リレーのコースの沿道で行われた東京五輪開催に反対する抗議行動=長野市内で1日
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