感染力が強く重症化しやすいとされる変異株の猛威も加わり、国内での死者が累計で1万人を超えた新型コロナウイルス感染症。
感染から回復しても、倦怠(けんたい)感や息苦しさなどの後遺症が長く続くことも大きな課題になっている。なぜ後遺症は長引くのか。実態とメカニズムに迫った。


軽症でも3人に1人は後遺症


厚生労働省の新型コロナ診療の手引きによると、長引くさまざまな症状を「いわゆる後遺症」とし、詳細な研究の必要性を指摘している。

米ワシントン大の研究チームが今年2月、米国医師会誌で発表したデータによると、
軽症者でも、およそ3人に1人は、発症から最大9カ月経過しても何らかの後遺症があったという。

米国の男女177人(平均年齢48歳)を対象に、発症から3〜9カ月程度の体調を調査。
全体の9割弱を軽症の外来患者が占め、「倦怠感」 「味覚・嗅覚障害」を挙げた人はそれぞれ13・6%で、最も多かった。

このほか頭痛や呼吸困難、吐き気などを訴えた人もいた。
チームは「健康面や経済面に甚大な悪影響を及ぼしている可能性がある」と指摘する。


日本でも、国立国際医療研究センター(東京都新宿区)が昨年、
コロナから回復した患者63人を調べた結果、76%に後遺症が確認され、27%は4カ月も続いていた。


英医学誌ランセットの系列誌で公表された豪州のデータでは、18歳以下の子ども151人を3〜6カ月間追跡調査したところ、
約1割に当たる12人で、せきや倦怠感が最大で2カ月程度続いたという。軽症者や若年層も油断はできないようだ。
https://mainichi.jp/articles/20210501/k00/00m/040/163000c