東大医学部でも落ちる医師国家試験、「4つ間違えたら即不合格」な問題があった!
5/6(木) 8:01配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c8c845aa5b349efcdcf1800600554073092e299

医学知識ゼロで解ける問題も

 以下は、今年の2月上旬に行われた「第115回医師国家試験」に出題された問題である。まずはチャレンジしてみてほしい。

Q 研修医がコンサルテーションを依頼するときの配慮で適切でないのはどれか。

a 簡潔なコンサルテーションを心掛ける。
b 相手との良好な関係性を心掛ける。
c 問題を具体化せず意見を求める。
d 患者についての情報を集める。
e 緊急性を考えて行う。
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 正解はc。医療の知識が関係ないことに、驚いた人もいるのではないだろうか。医師国家試験にはこのような一般常識で解ける問題も出題される。また、過去には社会人としてのマナー、患者の痛みへの共感を示す際に適切な言葉なども出題されたこともある。

 しかし、このような「常識問題」は数問だけ。最難関の東大医学部の学生でさえも不合格になる医師国家試験は、医学部に進学した成績トップ層のハイレベルな戦いだ。
近年の合格率は90%前後。一見高いように見えるが、逆に言えば約1割の受験生は不合格になり、1年後に再挑戦することになる。

 通常の試験なら、合格基準点を取れば合格だが、医師国家試験には特徴的なルールがある。そのひとつが、学生の間で「ドボン問題」と呼ばれることもある「禁忌肢問題」だ。「絶対に選んではいけない」選択肢を4問以上選んでしまうと、たとえそれ以外の問題をすべて正解していても、不合格になってしまうのだ。

 コロナ禍で行われた今回の問題を題材にして、医師国家試験について紹介したい。

そもそも、医師国家試験とは?
医師国家試験の問題構成と配点(筆者作成)

 「必要な点数をとれた自信はありましたが、医師国家試験にはドボン問題があるから、合格がわかるまでは少しドキドキしました」

 首都圏の国立大学医学部を卒業した女性医師は、受験した当時をこう振り返り、笑顔を見せた。

 1946年から始まった医師国家試験は、これまでたびたび改革が行われた。2018年には、前年の「3日間で500問」から2日間で400問解答する方式になった。まずは、医師国家試験の問題数と配点について、表で見てみよう。

 試験問題は、疾患などの知識を問う「一般問題」と、患者の症例を示し、診断、検査、治療方法などを問う「臨床実地問題」に分かれている。それぞれに、研修医になるための最低限の知識を求められる「必修問題」、疾患をまたいだ横断的な知識が必要な「医学総論」、疾患などの知識を問う「医学各論」という小ジャンルが設定されている。

 そして1997年からは、決められた回数以上選択すると不合格になる「禁忌肢」が導入された。試験に挑んでいる受験生にはどの問題のどの選択肢が禁忌肢かわからないため、前出の女性医師のように、合格発表まで不安な気持ちを抱えるのも無理はないだろう。

 ここで、2018年に行われた第112回医師国家試験を受験した学生の成績通知書(写真)を見てほしい。3つある合格基準のうち、@の必修問題、Aの一般問題および臨床実地問題は合格基準を超えているが、Bの禁忌肢を4問選んでしまったため、不合格となってしまったのだ。

 この受験生は翌年合格したが、当時、「112回医師国家試験、禁忌単独落ちしてしまいました。自己採点で受かったと確信していただけにショックでした。結果で評価される世界に行くわけで言い訳は許されないのは承知しています。1年間頑張って113回医師国家試験で決めます!」とツイートしている。

 医師国家試験対策予備校テコムの米岡理医科事業本部長は、この年の合否結果についてこう話す。

 「例年、禁忌肢選択数のみで不合格になる人はほとんどいませんが、112回は50〜60人ぐらいが禁忌肢で不合格になったように思います」

 また、『医師国家試験問題解説』などを出版する医学書出版社・メディックメディアの編集者で医師の山本茜さんは、禁忌肢問題についてこう説明する。



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