新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が延長され、医療提供体制が危機的状況にある大阪府で、コロナ以外の患者の治療にも影響が及んでいる。大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)は、1日から集中治療室(ICU)の全30床をコロナ患者用にあてている。重度の疾患の治療を受けながら、ICUから一般病棟に移らざるをえなくなった10代男性患者の父親が、朝日新聞の取材に応じた。

10代患者は生まれつき疾患があり、同病院で2度の手術に成功。父は「息子を救ってくれた阪大病院には感謝しかなく、今回の病院の判断も受け入れている」と語った。

 府内でのコロナ重症病床の逼迫(ひっぱく)を受け、府は4月27日、阪大など5大学の病院に対し、大型連休中は一時的にコロナ病床を増やすよう要請。その2日後の朝、10代患者の父への電話で、主治医は「申し訳ありません」と繰り返していたという。

 同病院では、がんや心臓の手術後などの患者用のICU30床中23床をすでにコロナ重症患者用にあてていたが、1〜10日は全てコロナ用にすることを決めた。ICUにいた患者は、一般病棟に移ることになった。

 10代患者はこれまでも手術を繰り返してきた。今年3月初めに体調を崩し、兵庫県内の病院に入院した。

 「退院したら、一緒にラーメンを食べよう」。父はそう約束したが、息子は容体がどんどん悪化。体外式膜型人工肺(ECMO)を装着して、何とか命をつなぐ状態になった。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASP595418P56PTIL00J.html