「世界一利用者数の多い駅」とされる新宿駅。JR、私鉄、地下鉄各線が集結する中、他線とやや離れているのが西武鉄道新宿線のターミナル、西武新宿駅だ。靖国通りを挟んでJR新宿駅の北側に位置し、乗り換えには横断歩道を渡るか、地下道を迂回する必要がある。

【地図でチェック】微妙に離れた西武新宿駅・JR新宿駅の位置関係と、新たに整備する予定の通路

 その西武新宿駅とJR・東京メトロ新宿駅方面を直結する地下通路を整備する計画が動き出した。地元・新宿区が都市計画変更手続きに着手したのを受け、西武鉄道は4月26日、通路の早期実現に向けて具体的な検討や関係者との協議を進めると発表。開通すれば、JRをはじめとする各線と西武新宿線の乗り換え利便性が向上する。

 かつては現在のJR新宿駅側まで乗り入れる計画もあった西武新宿線。線路は延びないものの、地下通路で「新宿駅直結」を図る。

■140mの地下通路で6分短縮

 計画されているのは、西武新宿駅の地下とつながる地下街「新宿サブナード」と、メトロ丸ノ内線の駅通路「メトロプロムナード」の間を直結する長さ約140mの地下通路。現在も両駅間は地下街でつながっているが、迂回する経路のため徒歩で約11分かかる。新たな通路が開通すれば約5分に短縮される。

 新宿区の資料によると、通路はサブナードとメトロプロムナードで高低差があるため、メトロプロムナード側に階段やエスカレーター、エレベーターを設ける予定。通路の幅は6mで、同区新宿駅周辺基盤整備担当課によると、ピーク時の通行者数は1時間当たり最大7000人を想定しているという。整備の事業予定者は西武鉄道で、費用は同社が負担する予定だ。

 新宿区によると、新たな地下通路にはJR線を挟んで西側、都営地下鉄大江戸線の新宿西口駅方面へ通じる地下道もつながる予定。同地下道は都が整備する計画で、未着手だがすでに都市計画決定されている。将来的には西武新宿駅からJR新宿駅だけでなく、西新宿方面にも地下道経由でスムーズに行けることになりそうだ。






 新宿駅周辺の地下歩行者ネットワークは地下街や地下鉄駅のコンコースなどを結んで構成されているが、一部に接続していない部分もある。今回の区間はその1つだ。新宿区の担当者は、「西武新宿線とJR線などの乗り換えは地下経由だと迂回が必要になり、地上も交差点が混み合っているなど課題が多い。(今回の区間は)地下通路整備の重要度は高い」と話す。

 東京都と新宿区は2018年に、「新宿の拠点再整備方針」を策定した。2040年代を見据え、駅や駅前広場、駅ビルなどを一体化した「新宿グランドターミナル」として再開発する構想だ。西武新宿線とJR・丸ノ内線の乗り換え経路拡充は「グランドターミナルを一体化するターミナル軸の構築」に位置づけられており、地下通路の整備はその一環だ。

 だが、西武新宿駅とJR新宿駅方面を直結する地下通路の構想は今に始まったわけではなく、西武が1980年代後半に打ち出した新宿線西武新宿―上石神井間約12.8kmの複々線化計画にさかのぼる。現行の新宿線の地下深くに急行用の新たな線路を建設し、高田馬場と西武新宿に地下駅を設ける計画で、この「地下急行線」の西武新宿駅改札外コンコースがJR新宿駅方面とを結ぶ地下通路の役割を果たす予定だった。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4acb0a8a44c898ca7b4763684f02983a864092b7?page=2
5/26(水) 6:31配信

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