https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM040US0U1A600C2000000/
天安門事件から32年 香港警察、民主派団体幹部を逮捕

【香港=木原雄士、北京=羽田野主】民主化を求める学生らを中国当局が武力で鎮圧した1989年の天安門事件から4日で32年を迎えた。香港警察は同日朝、追悼集会を長年主催してきた民主派団体幹部の鄒幸彤氏ら2人を逮捕した。中国政府は現場となった北京の天安門広場の周辺に警察車両や警官を配置し、厳戒態勢を敷いた。

鄒氏は香港市民愛国民主運動支援連合会(支連会)副主席。警察は無許可集会を宣伝または公表した容疑だと説明した。

香港警察は5月に新型コロナウイルス対策を理由に4日夜の追悼集会を禁止し、支連会も中止を発表した。鄒氏は個人の立場として、毎年集会が行われるビクトリア公園に行くと表明していた。

香港では2020年6月末に香港国家安全維持法が施行され、政治活動への締め付けが厳しくなった。香港メディアによると、警察は4日、7000人規模の警察官を動員して違法集会を厳しく取り締まる方針だ。

天安門広場では現在、7月1日の中国共産党創立100年の記念行事に向けた準備が進められている。広場の両脇に巨大なパネルを設置中だ。中国メディアによると、一般開放を23日から7月1日まで一時停止するという。新型コロナの感染が広がる台湾でも、10人以上の屋外での活動は禁じられている。

中国外務省の汪文斌副報道局長は3日の記者会見で、天安門事件について「中国が選んだ発展の道は完全に正しかった」と述べ、当局の判断を改めて正当化した。

2021年6月4日 9:07 (2021年6月4日 11:14更新)
日経新聞