昨年、大戸屋を敵対的買収したことで大きな話題を呼んだ、株式会社コロワイドが窮地に立たされている。

コロワイドの2021年3月期決算は壊滅的だった。売上は1678億2600万円となり、前期の2353億3400万円から大幅に減少。事業損失は81億4600万円(前期比−5.4%)、当期損失も107億6900万円(前期比−6.4%)となり、軒並み厳しい数字が並ぶ。

2021年3月期第2四半期決算では、2021年3月期決算には1892億円の売上を見込んでいたので、想像以上に苦しい経営を強いられたことを物語っている。

コロナ禍では焼肉や寿司、ファストフードが勝ち組と呼ばれている。実際、「焼肉きんぐ」や「スシロー」「マクドナルド」などがコロナ禍でも堅調な売上を叩き出し、多くの業界関係者が熱い視線を注ぐ。

一方で、コロワイドも「牛角」や「かっぱ寿司」「フレッシュネスバーガー」といったコロナ禍で好調だった業態を傘下に持つ。ましてや、コロナ禍で多くの外食企業が非アルコール業態の必要性を感じて参入した定食業態を、大戸屋の買収で手に入れた。

その事実だけ見ると、コロワイドもコロナ禍の勝ち組になっていてもいいはずだ。しかし、コロナ禍の勝ち組になれていない。その原因はどこにあるのだろうか。「大戸屋」「かっぱ寿司」「自己資本比率」の三つの切り口で分析をしていく。

コロワイドがTOBを成功させて、大戸屋ホールディングスを連結子会社としたのは2020年9月のことだ。当時、既にコロナ禍になっており、「甘太郎」や「北海道」「土間土間」といった居酒屋業態を抱えるコロワイドは宴会の激減や二軒目需要の消失などから苦戦を強いられていた。そこで非アルコール業態の「大戸屋」は是が非でも手に入れたい業態であった。

コロワイド傘下に入った効果はまだ出ていない
コロナ禍に合わせて業態ポートフォリオを組み替えて、時代にマッチした外食企業に生まれ変わろう。そういうシナリオを描いていたであろうが、現状はその通りにはいっていない。なぜなら、大戸屋ホールディングスの2021年3月期の売上高は前期比34%減の161億円、最終損益は46億円と過去最大の赤字を記録したのだ。

とはいえ、もともと大戸屋は赤字だった。2019年3月期の売上高は257億円、純利益が5500万円とかろうじて黒字を保っていたが、2020年3月期は売上高が245億790万円だったものの11億円の赤字に転落している。

しかし、今期は、そこからさらに業績が悪化した結果となった。今のところ、コロワイド傘下に入ったことによる効果は発揮されていないといって差し支えがないだろう。

大戸屋は2022年3月期の売上高は229億円、最終損益は8億4000万円の黒字を目指す。コロナ禍がある程度収束しているのはもちろん、新メニューの全店導入などで目標達成を実現していくが、そこに向けたきっかけはつかみつつある。

実際、4月の全店売上は18億2806万円(前年同期比186.1%)で、5月は17億4551万円(149.3%)と、いずれも好調な数字が並ぶ。ただ4月は、昨年1回目の緊急事態宣言が発出された影響もあり、ほとんどの外食企業の昨年対比の数字は伸びている。

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