傷害致死罪の男性の裁判 正当防衛を認め無罪判決

http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagasaki/20210708/5030011968.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

3年前、佐世保市で職場の上司を殴って転倒させ、死亡させたとして傷害致死の罪に問われた男性の裁判で、
長崎地方裁判所は、「被告の行為が正当防衛として許された防衛の程度を越えていたと認められない」
として無罪判決を言い渡しました。

無罪判決を言い渡されたのは、福岡市南区の自営業岩戸誠司さん(54)です。
岩戸さんは3年前、佐世保市宇久町の波止場で当時56歳の職場の上司の男性を殴って転倒させ、
頭を地面に打ちつけさせて死亡させたとして傷害致死の罪に問われました。

当初、検察は「十分な証拠が集まらなかった」としていったん不起訴としましたが、
おととし検察審査会の不起訴不当の議決を受けて、再び捜査を進め、
「被告の弁解を覆す十分な証拠が集まった」として去年起訴しました。

これまでの裁判で、弁護側は「被害者の執ような攻撃に対して
やむを得ない防御行為だった」と正当防衛を主張していた一方、
検察は「被害者からの攻撃はなかった」として、傷害致死の成立を主張し懲役5年を求刑していました。

8日の判決で、長崎地方裁判所の潮海二郎裁判長は「被害者からの攻撃があった疑いが残る。
被告の行為が正当防衛として許された防衛の程度を越えていたと認められず、
正当防衛が成立しないことの証明がない」と指摘して無罪を言い渡しました。

判決を受けて、弁護側の伊達高志郎弁護士は「客観証拠が少ない中で
岩戸さんの主張が認められたものと受け止めている」と話していました。

一方、長崎地方検察庁は「判決内容をよく検討し上級庁とも協議のうえ
適切に対応したい」とコメントしています。

07/08 19:11