2022年03月31日

かつて、大阪市西成区の「あいりん地区」で、日雇い労働者がお金を預けていた通称「あいりん銀行」。
3億円余りの預金が元の持ち主に返されぬまま、31日で、清算業務を終えることになりました。



■日雇い労働者のための銀行

大阪市西成区にある「あいりん貯蓄組合」、通称「あいりん銀行」。1962年に大阪市が開設しました。
一般的な銀行との違いは、お金を預かる仕組み。日雇い労働者が預けたお金は、組合を通じて別の金融機関で管理します。

日雇い労働者の街と呼ばれた「あいりん地区」。1986年には、およそ2万4000人の日雇い労働者が暮らしていました。
日雇い労働者が生活の拠点にしていたのは、1泊数百円から千円程度の簡易宿泊所。
住所を持っていないため、多くの日雇い労働者は銀行口座を作ることができませんでした。

そこで、大阪市は1962年簡易宿泊所暮らしでも、口座を作れる「あいりん貯蓄組合」を開設。
貯蓄をして、その日暮らしの生活から抜け出してもらうのが狙いでした。

【当時の利用者】
「ドヤより、ちょっとでもアパート借りたいと思いましてね。アパートの資金が欲しかったために5万円ぐらいやったら」

1991年の預金残高は、およそ11億5000万円。
年間の取扱件数も8万件を超え、まさに日雇い労働者のための「銀行」でした。


かつて日雇い労働者として「あいりん貯蓄組合」を利用し、今は、労働者を支援する活動をしている山中秀俊さんは、当時をこう振り返ります。
https://www.ktv.jp/news/feature/220331/?id=af344f973c8f64355a2dfa8f83ede4c4a