ニシンの群れが産卵したあとに海が白く濁る「群来(くき)」と呼ばれる現象の詳しいメカニズムを解明しようと、北海道函館市で大型の水槽を使った実験が始まりました。

「群来」はニシンのメスの群れが沿岸の海藻に産卵したあとオスが精子をかけることで海が白く濁る現象で、春先に見られることが多く、3月、北海道乙部町でおよそ100年ぶりに確認されました。

北海道大学の研究チームは群来の詳しいメカニズムを解明しようと、22日から函館市で大型の水槽を使用して本格的に実験を始めました。

水槽では北海道標津町でとれたおよそ700匹のニシンの群れを飼育していて、卵を産み付けるための人工の海藻が設置されています。

そして水槽内の海水温を変化させたり、海水の量を増減させることでニシンの群れの密度を調整したりして、どのような環境で産卵が行われやすいのかを調べるということです。

また、ニシンに取り付けられた小型のセンサーから産卵が行われた時間などについても分析を行い、将来的にはニシンの資源予測にもつなげたいとしています。

北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの宮下和士教授は「北海道の沿岸では最近ニシンの群来が多く見られている。群来がどうやって起こるのか、メカニズムを解明したい」と話していました。

NHK NEWS WEB 2022年4月22日 21時06分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220422/k10013594941000.html