8/4(木) 15:34配信

BBC News

武装勢力アルカイダの指導者アイマン・アルザワヒリ容疑者(71)が7月31日、アフガニスタンの首都カブールで、アメリカのミサイル攻撃で殺害された。巻き添えの死者はなかった。正確な攻撃は、なぜ可能だったのか。

現地時間の午前6時18分、2発のミサイルがバルコニーを直撃した。アルザワヒリ容疑者は死亡したが、建物の中にいた妻と娘は無傷だった。

アメリカはこれまで、こうした攻撃で民間人を巻き添えにして死亡させ、批判されてきた。

しかし今回は、特殊なミサイルを使い、標的の習慣を綿密に調べることで、正確な攻撃を実現させた。今後も続く可能性がある。




■レーザーで精度高める

今回の攻撃でかぎを握ったのは、使用されたミサイルの種類だ。米当局は、ドローンから「ヘルファイア」を発射したと明らかにした。2001年の同時多発攻撃以来、アメリカが国外での対テロ作戦で多用している空対地ミサイルだ。

ヘルファイアの特徴は精度だ。

ミサイルがドローンから発射されると、遠く離れた米大陸にいるオペレーターが、ドローンが撮影し、衛星を介して提供されるライブ映像を見ながら操作する。

オペレーターは標的を「ロック状態」にし、レーザーを照射。ミサイルはそのレーザーの軌道をたどり、標的に命中する。

標的殺害の専門家で、米シラキュース大学安全保障政策・法律研究所の創設者であるウィリアム・バンクス教授は、「今回の事案では、彼(アルザワヒリ容疑者)だけを攻撃し、他の人を傷つけない場所と時間を見つけるため、かなり慎重を期して熟慮したと思われる」と話した。

アルザワヒリ容疑者への攻撃では、ヘルファイアのあまり知られていないバージョン、「R9X」が使われたとの見方も出ている。ただ、確認はされていない。R9Xには6枚の刃があり、その運動エネルギーで標的を切り裂く。

R9Xヘルファイアは、2017年にシリアでアルカイダの指導者が殺害された時に使われたとされる。攻撃後に撮影された写真では、車の屋根に穴が開き、乗っていた人たちが細切れになっていたが、爆発の跡や、車がそれ以上破壊された形跡はなかった。




■「バルコニー習慣」をつかむ
https://news.yahoo.co.jp/articles/8feaabc905a389528042b5cb8694120d7803f8b2