【ロンドン時事】ケニア政府が主食のトウモロコシを含めて遺伝子組み換え作物の栽培を全面解禁することを決めた。40年ぶりとされる厳しい干ばつに見舞われる中、乾燥に強いといった品種の導入を通じ、農産物の増産を図る考え。だが安全性への根強い不安から、反発も出ている。

 アフリカでは、衣料の原料となる綿花を中心に組み換え作物を一部の国が導入している。組み換えトウモロコシは南アフリカに限られており、ケニアも商業栽培に乗り出せば、さらに他国に広がる可能性もある。

 現地メディアによると、ケニアは2012年11月以降、安全性に懸念があるとして組み換え作物の栽培や輸入を禁止してきた。しかし、今年9月に就任したルト大統領が10月、専門家の意見を聞いた上で、健康へのリスクは小さく、食料安全保障上のメリットの方が大きいとして、禁輸を解除すると表明した。
 大統領は「何百万もの国民を飢えから救うため、より多くの食料生産が可能となる新たな農業を取り入れたい」と説明。食料や家畜の飼料向けに栽培も認める考えだ。米国が「組み換え作物を禁じるのは非関税障壁だ」と見直しを求めていたことも影響したとみられる。
 これに対し、環境保護団体グリーンピース・アフリカなどは猛反発し、直ちに撤回を求める共同声明を発表。「公の議論が行われていない。組み換え食品の安全性はまだ確認されていない」と、ルト政権の対応を厳しく批判している。

時事通信 2022年10月16日07時06分
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