日本人は「超過死亡増加」の深刻さをわかってない
10/26(水) 16:31配信

 日本の死亡者数が急増している。厚生労働省の人口動態統計(概数)によれば、今年1~3月には約42万人が亡くなり、死亡数は前年より約3万8000人(10%)増えていた。さらに、共同通信によれば、今年1~6月までに、約77万7000人が死亡し、例年の死者数と比べた「超過死亡」は1万7000~4万6000人と推計されるそうだ。

 共同通信は、その理由について、「増加の要因として、新型コロナによる直接死のほか、医療逼迫の影響で医療機関にアクセスできず新型コロナ以外の疾患で亡くなったケース、外出抑制など生活習慣の変化に伴い持病が悪化したケース、経済的な困窮によって自殺したケースなど間接的な影響も考えられると専門家はみている」と報じている。

(中略)

■日本のコロナ対策は科学的に合理的でない

 これこそ、わが国のコロナ対策の宿痾を象徴している。科学的に合理的でないのだ。もし、3月の段階で、高齢者の自粛を方向転換していれば、その後の超過死亡は、ある程度予防できていたはずだ。コロナ対策見直しの好機を逸してしまった。

 なぜ、こうなるのか。厚労省や周囲の専門家が、国民の命より、コロナ感染者数に関心があるのかもしれないし、彼らが実力不足で、世界的な議論をフォローアップできないだけかもしれない。さらに、メディアも、彼らの主張をそのまま報じる。世界レベルの議論についていける記者が少ないのだろう。

 わが国のコロナ対策は、現状のまま、予算を増やし、司令塔を強化しても迷走をつづけるだろう。なぜ、世界の一流科学誌・医学誌に発表された研究成果を「無視」するのか、その原因を分析し、適切に体制を整備しなければならない。第8波は、すぐそこまできている。体制刷新は待ったなしだ。

上 昌広 :医療ガバナンス研究所理事長
https://news.yahoo.co.jp/articles/fcbeb0e535f3f06754ea4ba194c126bdf0d922cc?page=4