山口県・周防大島沖の瀬戸内海で海上自衛隊の護衛艦「いなづま」が自力航行できなくなった事故で、海自は11日、船尾の底にある二つのスクリューがいずれも損傷していただけでなく、船首部分にも亀裂などがあったと明らかにした。当時の航路周辺には水深約7メートルの浅瀬があったといい、海自は船底の広い範囲が岩などに接触した可能性があるとみている。


 海自によると、いなづまの船底で最も深いのはソナー(水中音波探知機)がある船首部分で、海面から船底までは約8メートル。11日に隊員が潜水して調べたところ、このソナーを覆った部分にへこみや亀裂が見つかった。二つのスクリューのうち右側の損傷が大きく、5枚ある羽根のうち一部が脱落、船体と垂直につながる軸は曲がっていたという。

 また、船体の周辺で流出が確認された油は、脱落したスクリューの羽根の付近から漏れていたことも判明。成分を分析したところ、スクリューを動かすための油圧作動油とみられる。応急処置をしたが、油の流出は続いている。海上保安庁は、流出が収まってから護衛艦を移動させる方針で、11日時点で移動の見込みは立っていないという。


 海自は事故を受けて10日付で調査委員会を設置。乗員への聞き取りなどを通じて事故当時の状況を調べる。【内橋寿明】

毎日新聞 2023/1/11 21:38
https://mainichi.jp/articles/20230111/k00/00m/040/288000c