ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナへの軍事支援について欧米各国が話し合う会合が日本時間の20日夜、ドイツで始まりました。
ドイツのピストリウス国防相は20日、ウクライナに対するドイツ製の戦車「レオパルト2」の供与について「いつ決定できるかはわからない」と述べ現時点では判断を先延ばしました。
「レオパルト2」は攻撃能力が高く、世界で最も優れた戦車のひとつとしてヨーロッパ各国が保有しています。

ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で20日午前、日本時間の20日午後6時15分過ぎからアメリカのオースティン国防長官や、ドイツのピストリウス国防相などおよそ50か国の代表が参加して、ウクライナへの軍事支援について話し合う会合が始まりました。

会合の冒頭、オースティン国防長官は、「この会合で、われわれの決意と結束が示される。ウクライナが必要とするかぎり支援していく」などと述べ、各国が一致して支援を続ける方針を強調しました。

また、会合にはウクライナのレズニコフ国防相が出席したほか、ウクライナのゼレンスキー大統領はオンラインで演説し、「勝利につながる戦車や装甲車などの支援を加速させてほしい」と訴えました。

ウクライナへの軍事支援をめぐっては今月、イギリスが欧米製の戦車としては初めて「チャレンジャー2」の供与を決めていて、ドイツ西部にあるアメリカ軍の基地で開かれている会合ではドイツ政府が「レオパルト2」の供与に踏み切るか注目されていました。

「レオパルト2」は攻撃能力が高く、世界で最も優れた戦車の一つとしてヨーロッパ各国が保有していますが、そうした国がウクライナに供与する場合もドイツ政府の許可が必要となっています。

ただドイツ政府は、戦車を供与すれば戦闘が一層激化するという国内の懸念などを背景に慎重な姿勢を示してきただけに、その判断に注目が集まっています。

ドイツ製の戦車「レオパルト2」をめぐっては、今月11日、ポーランドのドゥダ大統領がウクライナを訪問した際に「国際的な連合の一部としてレオパルト2の供与を決めた」と述べ、供与の意向を表明しました。

イギリスのシンクタンク、IISS=国際戦略研究所の軍事専門家は、レオパルト2についてドイツ以外にポーランドやフィンランド、それにカナダなど15か国が保有しているとしていて、その数はあわせて2000両を超えると推計しています。

イギリスのウォレス国防相はレオパルト2を保有する国々を「レオパルト連合」と呼び、これらの国からの供与が実現するようドイツ政府に働きかけていると述べました。

また、ウクライナのクレバ外相とレズニコフ国防相も19日の共同声明で、「供与ができる国はウクライナを支援する国際的な戦車連合の設立に向けた動きに参加してほしい」として、ドイツを含む各国が協調してレオパルト2を供与するよう求めていました。

ポーランドのほか、フィンランドもドイツ政府の許可が得られれば、レオパルト2を供与するとしています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230120/k10013955621000.html