被差別部落民の混住化が進む東京都に正式の同和地区は存在しなかったものの、荒川区、墨田区、台東区、練馬区は準指定地区の扱いを受けていた。作家山口瞳の妻治子は向島の皮革業者の娘だが、部落民かどうかは明らかでない。声優の森田成一も墨田区の履物屋の息子だが、部落民かどうかは不明である。 東京都の被差別部落の数について、本田豊は「大体30部落ぐらいといわれているが、実際歩いてみると、300近くある。まとまっている部落そのものでも90くらいはある」と主張する。本田は、別の本では自身の調査結果に基づき「約150地区が確認できる」、「23区内をみると部落数は33ヵ所」、「品川区内には8ヵ所の部落があるといわれ、内3ヵ所ははっきりしている。部落と関係が深い白山神社も1ヵ所だけ残されている」とも述べている(解同品川支部による『いばら 10年のあゆみ』35頁にも同じことが書かれている)。都の行政は都議会で「都内の部落は234地区である」と答弁したことがあるといわれる。『東日本の被差別部落』(明石書店)15頁によると、東京都の被差別部落の数は248地区である。