プレジデントオンライン2/21 11:00
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※本稿は、『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。数字はいずれも2022年11月30日、雑誌発行時点のもの。

大学付属の中学・高校の人気が近年高まっている。大学通信の情報調査・編集部の大野香代子編集長は言う。

「背景にあるのは2016年度から始まった私大の定員厳格化と21年から始まった大学入学共通テストをはじめとする大学入試改革で、大学受験の難化や混乱が予想されたこと。難関大学へエスカレーター式に進学できる大学付属中高への入学を希望する受験生が増え、多くの大学付属校で倍率と偏差値が上がっていきました。ここ数年は、高止まりしている状況です」

中学・高校の6年間を大学受験のためにきゅうきゅうとするのではなく、のびのびと部活や趣味に打ち込んでほしい、という親心もあり、付属校への進学を希望する受験生の数はしばらく減ることはないとみられている。

そこで、首都圏と関西の大学付属校についてリポートしよう。本稿では、第1回の早慶編に続き、第2回のMARCH編をお届けする。

■人気沸騰 MARCH付属校の内部進学率一気見せ
MARCHの付属校も共学校中心に人気が高い。

立教大は8割以上が進学する二つの一貫校がある。立教池袋、立教新座(どちらも男子校)だ。さらにここ数年で立大への内部進学率が上がったのが系属校の立教女学院。以前は6割程度だったが、7割以上に。24年度卒業生からは成績などの基準を満たせばほぼ全員が進学できる。

「同校からは国立大や早慶、他のMARCH、東京理科大などへ進学する層もいます。立大は工学部系がないという影響もあるでしょう」(同)

系属校の香蘭女学校中等科・高等科はもともと「立教枠」は約半数だったが、直近では一学年168人中97人が立大へ進むなど内部進学枠が拡大。

「立教大への入りやすさや、中学入試で午後入試に参入したことで人気となり、偏差値が上がっています」(同)

■人気の青学は横浜と浦和にも系列校・系属校
青山学院大の付属校は唯一、青山学院初等部・中等部・高等部があり、その歴史は古い。高等部の87.2%が同大へ進んでいる。14年から新たに系属校となった青山学院横浜英和では、16年度以降の中学入学者は進学条件を満たせば、同高校から大学へ進学できる。直近は53.5%が進学した。

19年度には系属校に浦和ルーテル学院が加わった。30年度の高校卒業生から青山学院大への進学基準を満たす生徒は条件を満たせば優先的に進学できる枠が与えられるが、進学枠の数は公表されていない。

■偏差値30台だった前身女子校が59に爆騰した中大付属校
中央大にはもともと共学の付属校が三つあった。10年に新たに付属校となったのが、中央大学附属横浜。前身の横浜山手女子時代の偏差値は30台だったが、付属校になったことで日能研偏差値50台に。直近の数字は59にまで上昇している。

「数年前の内部進学率は60%台でしたが、現在は83%超と飛躍的に高まっています。東大や早慶など難関大にも数多く合格しています」(同)

■2026年度に明大世田谷が誕生「7割内部進学目指す」
明治大の系属校には、明治大付中野と明治大付中野八王子があるが、さらに一つ増えることになった。

「22年3月に、明大は日本学園と系列校連携の協定を結び、26年4月から同校の名称を明治大付世田谷とすることを発表しました。つまり、23年度に日本学園中に入学した生徒は高校卒業時に明大に進学できる可能性があります。進学枠の人数はまだわかりませんが、日本学園の受験者は増えるでしょう」(同)

※編集部註:日本学園は1885年に創立された伝統ある男子校。OBには元首相の吉田茂、作家の永井荷風、画家の横山大観などがいる。日本学園のHP上では「卒業生のおよそ7割(約200人)以上が、明治大学へ推薦入学試験によって進学できる教育体制の構築を目指します」と発表。そのため、日本学園の偏差値は前年度の40台から2022年12月時点で56・58・60(いずれも首都圏模試センター合格率80%基準偏差値/日程はそれぞれ2月1日午前・2月4日午前・2月5日午前)に上昇した。

■法大への進学権利を持ったまま、他大学を受験可
法政大の三つの付属校は共学で、成績の基準を満たせば大学へ進める。

「MARCHの付属校の中で先駆けて、法大への進学権利を持ったまま、他大学を受験できるようにしました」(同)

22年9月には法大が大学近くにある女子校・三輪田学園と高大連携の協定を結び、「法大への学校推薦型選抜枠最大30人」ができた。このことで三輪田学園の偏差値が高まることが予想されている。

※長文の為各附属校のデータは出典先で