<独自>入管仮放免中の逮捕361人 昨年、殺人未遂や違法薬物も
産経新聞
2023/4/5 19:44

不法滞在などで入管施設に収容された後、一時的に釈放される「仮放免」中に罪を犯したとして逮捕された外国人が昨年、361人に上ったことが5日、入管関係者への取材で分かった。新型コロナウイルスの感染拡大以降、入管施設で感染者集団(クラスター)が発生するのを防ぐためなどの理由で急増した仮放免者について、犯罪実態が明らかになるのは初めて。

出入国在留管理庁によると、仮放免者は令和3年末時点で5910人と、感染拡大前の元年末と比べて約8割増えた。こうした状況を受けて入管庁は、3、4年中に逮捕された仮放免者の数を初めて集計。これによると3年中は337人、4年中はさらに増えて361人だった。

逮捕容疑は殺人未遂や覚醒剤取締法違反などで、実刑判決が下ったケースもあった。

ある仮放免者は、覚醒剤取締法違反罪などで2度の実刑判決を受けて強制送還の対象となり、施設に収容されたが難民認定を申請。入管難民法の規定で送還を逃れ、仮放免も認められたが、その後に大麻を栽培したとして逮捕され、懲役3年の実刑判決を受けた。

同じく難民認定を申請した別の仮放免者は、行方をくらますなどした末に無免許運転で信号無視をして人身事故を起こした。さらに違法薬物を所持していたことも発覚し、懲役3年2月の実刑判決を受けた。

入管庁によると、3年末時点で強制送還が決まり、施設に収容された外国人のうち、599人が仮放免となった後に行方をくらましている。こうした「逃亡者」は昨年末時点で約1400人(速報値)と、急増している。

政府が今年3月に閣議決定し、国会に提出した入管法の改正案では、従来の仮放免に加え、本人の生活状況を報告する「監理人」を付けた上で施設外で処遇する「監理措置」を新たに導入することなどが盛り込まれた。在留資格のない外国人は原則、施設に収容するという入管政策からの転換を図ろうとする中、施設外での管理の在り方が改めて問われそうだ。


仮放免 違反行為が発覚して強制退去(強制送還)などの対象となり、入管施設に収容された外国人の身柄拘束を一時的に解く制度。「健康状態の悪化」や「出国準備」などの理由で、収容者本人やその代理人らが請求できる。住居制限や保証金納付などの条件を付けた上で入管側が許可を出すが、条件に違反したり逃亡したりすると取り消され、保証金が没収される。

https://www.sankei.com/article/20230405-H5CTPTFOCRO7HBXIYVLFSUGPW4/