鉄道やバスの運転士にサングラス着用を許容する動きが広がっています。2023年4月3日からは、京急電鉄が使用を開始。24日からは、両備バス(岡山市)と中国バス(福山市)が一般路線バス、高速バス、貸切バスなどで約1か月間の実証実験に乗り出します。
 
 サングラス姿の運転士は海外ではよく見かけますが、日本でいま広がってきたのはなぜでしょうか。

 各社は同じレンズメーカーのサングラスを用います。タレックス(大阪市生野区)が開発した偏光レンズ「トゥルービュー」を使用したもので、色覚に影響をおよぼさないことが特徴。各社とも「保護メガネ」の名で説明しています。

 この保護メガネは近年、JR西日本、アストラムライン(広島)、福井鉄道、井原鉄道(岡山)、京都丹後鉄道と、鉄道を中心に採用が拡大しています。

 2022年10月から1か月の実証実験を経て、運転士の目を保護する観点から導入したという京急電鉄。「特に秋から冬、日が落ちる時間帯の西日はかなりキツイものがあります。窓に日よけカーテンがあっても、運転台への照り返しは強烈です」と、運転士歴13年という広報担当は説明します。

 着用は運転時のみで、利用客と接するときは外しているそうですが、現場からは「非常にいい」との声があがっているとか。

「他社へもヒアリングをして、現場からの評価もよく、お客様からも『安全のためなら』とご理解いただいていると聞き、当社も導入に踏み切りました」と話すのは、両備グループの担当者です。中四国地方のバスにおける偏光レンズ入り保護メガネの導入は、両備バスと中国バスが初だといいます。

まだ当たり前ではない「サングラス姿の運転士」
タレックスの偏光レンズ使用のサングラスは、JR東日本商事、JR西日本商事でも取り扱っている(画像:タレックス)。

 バスでも保護メガネの着用は広がっていますが、高速道路を運転する時間が長い高速バスが中心です。今回、両備バスは高速バスのみならず、街なかの一般路線バスや貸切バス、中国バスにおいてはスクールバスでも導入します。ただし、貸切バスは主催者が自社の場合のみになるとのこと。

「安全面を考慮すれば導入したほうがよいのですが、特に一般路線バスなどは、鉄道などよりも接客を伴う部分が多いので、(お客様から)どう思われるかなどと心配し躊躇していました」(両備グループ プロモーション広報部)

 貸切バスでの使用が自社開催の場合のみなのも、サングラス着用がまだ一般的ではないことを考慮したものだそう。日本でバス運転士という職業は、“接客業”のとしての側面も大きいことから、海外のようにサングラス姿が当たり前になるまでには、まだ壁がありそうです。

 ちなみに、両備グループで鉄道とバスとで保護メガネの効果に違いがあるかと聞いたところ、「鉄道や高速バスの場合は、走行する方向が比較的一定なことが多く、場合によっては、ずっとまぶしいことがあります。一般路線バスは(右左折も多く)まぶしい場面とそうでない場面がありますが、それはそれでキツイものです」ということでした。

乗りものニュース編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/806dcb4ec82e2f761ade5f531994b3d9d723f64f
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