少子化対策で政府が目玉と位置づける児童手当の拡充を巡り、18歳まで支給を延長した場合、現行制度で16~18歳に適用されている「扶養控除」を見直す案が政府内で浮上していることが22日、政府関係者への取材で明らかになった。扶養控除を見直すことで手当拡充に伴う財源の一部を確保したい考えで、今後、検討を本格化させる。

 現行制度では、16歳以上19歳未満の子どもを扶養する場合に所得額から「扶養控除」として1人につき38万円が控除されている。過去には、2010年に民主党政権(当時)が中学生までを対象とする子ども手当(現児童手当)を創設した際、「所得控除から手当へ」との観点から15歳までが対象だった年少扶養控除を廃止した。政府内にはこうした経緯もあり、支給延長に伴う控除の見直しは避けられないとの見方が強い。

 財源のあり方を巡っては、5月11日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会でも、「現在、高校生(16~18歳)には扶養控除による税制上の措置がなされている中で、児童手当の支給対象を高校生まで拡大することについてどのように考えるか」などと問題提起されていた。

 ただ、扶養控除を見直すと所得の多い家庭で実質的な家計負担が増える可能性もあり、新たな制度設計は簡単ではない。政府は6月にまとめる経済財政運営の指針「骨太の方針」も踏まえ、年末にまとめる24年度税制改正大綱をにらんで検討を本格化させるが、今後の議論は曲折も予想される。【藤渕志保、中島昭浩】

毎日新聞 2023/5/22 20:06(最終更新 5/22 22:20)
https://mainichi.jp/articles/20230522/k00/00m/020/256000c