教員の長時間労働や、各地の学校での教員不足の改善に向けた議論が文部科学相の諮問機関、中央教育審議会で続いていることを受け、労働問題に取り組む弁護士らでつくる日本労働弁護団が18日、意見書を発表した。

 公立学校教員の給与は現在、労働時間に応じた残業代が支給されない代わりに、基本給の4%分が「教職調整額」として上乗せ支給される仕組みになっている。「教員給与特措法」(給特法)という法律で決められている。

 弁護団は意見書で、使用者側に残業代を支払わせることを通じて労働時間を抑制する観点から、給特法の廃止などで教員に残業代を払う仕組みに改めるべきだと指摘。教員の労働時間の厳格な把握も求めた。

 さらに、給特法の改廃によって教職調整額がなくなっても給与が減らないような仕組みとすることや、勤務と勤務の間に一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」を導入することなども求めた。

 給特法をめぐって政府は、6月に閣議決定した骨太の方針で、教職調整額の引き上げなどについて検討を進め、「2024年度中の改正案の国会提出を検討する」と明記した。だが、弁護団は「調整額の引き上げでは、働き方は改善されない」と批判。今後、中教審委員らに意見書を渡すなどして、議論に反映してもらうことをめざすという。(編集委員・増谷文生)

朝日新聞 2023年8月18日 19時20分
https://www.asahi.com/articles/ASR8L65LWR8LUSPT00F.html