市長と市民が市政の課題を意見交換する車座集会が16日、川崎市高津区の高津市民館で開かれた。今回のテーマは「認知症の人とともに暮らす地域づくり」。市は「市内の高齢者6人に1人が認知症」と現状を推計しており、認知症の人が社会参加することの大切さなどを話し合った。(小田克也)
 福田紀彦市長のほか、認知症の当事者や家族、支援グループの代表や民生委員など12人が参加した。冒頭、福田市長があいさつし、認知症サポーターの養成講座を以前に受講したことに触れ「それに基づき(地域社会で市民の1人として)いろんなアクションを起こせているかというと、そんなことはない。自分も学ばせていただきたい」と述べた。 
 認知症の当事者の1人は「外に出て人と接点がある、ということが頭を活性化してくれるのではないか。いろんな人と話し、仕事をするのはお金には換えられない」と毎日の生活の様子を語った。誰もがいずれ罹患(りかん)するかもしれない病気であり、事前に知識などを身に付けておくことの大切さも説いた。
 また、認知症の人が自宅などから外出して他の人と交流する活動に力を入れている支援者は「ヘルパーさんにお願いして認知症の方を集合場所まで連れてきていただくとか、帰りは誰がどこまで送るとか、細かく取り決めないといけない。そうした支援が大切です」と訴えた。
 福田市長は「家族だけではなく地域全体で支え合っていくのが何より大事と皆さんの発言から学びました」と述べた。市によれば、現状は人口の5人に1人が高齢者。高齢者の5人に1人が要介護等認定者で、高齢者の5人に1人が1人暮らしという。認知症高齢者は2020年に5万7千人を超え、30年に8万6千人、40年には10万人に達すると見込んでいる。

東京新聞 2023年9月17日 07時01分
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