大戸屋に行ったことはあるものの、最近は利用していないという人も多いのではないか。筆者もその一人である。大戸屋ホールディングスの業績を振り返ると、2018年度から客離れが進行しており、売上高は22〜23年3月期が復調傾向とはいえ、18年3月期に記録した約262億円を超えるに至っていない。客離れの主な要因は、値上げにあるだろう。

20年に飲食大手のコロワイドが大戸屋ホールディングスに対する敵対的TOB(株式公開買い付け)を敢行し、経営陣を刷新した。買収後は「離脱者層」の呼び戻しを目的にさまざまな施策を行っており、一定の成果を出しているようだ。本記事では、近年における大戸屋の経営状況とコロワイドの戦略についてまとめていく。

■ルーツは池袋の定食店 2階出店も奏功して人気を拡大 ※略
 
■二度のメニュー改定で客離れ 債務超過をコロワイドが救済

売上高がピークを迎えた18年3月期末時点で、国内店舗数は直営145店・フランチャイズ208店の353店。しかしその後、人件費や食材費の上昇に耐えきれず、18年7月と19年4月に相次いで値上げを実施した。全体的に50円前後の値上げとなり、定食メニューの価格帯は800〜900円となった。

中でも720円の「大戸屋ランチ」廃止は苦情が来るなど、反響が大きかったといわれている。平日のお昼時は定食店だけでなく、“牛丼御三家”などの飲食チェーンや、安いランチを提供する居酒屋が競合となる。値上げ後は特に30〜40代男性を中心に客離れが進行し、同社の業績も悪化してしまったようだ。

その後、さまざまな施策を行うも客足は回復せず、コロナ禍が追い打ちをかけて業績はさらに悪化した。18年3月期から21年3月期の売上高・店舗数は次の通りである。

売上高:約262億円→約257億円→約245億円→約161億円

店舗数:353→353→347→316

経営難に陥っていた同社を狙う形で、20年に飲食大手のコロワイドが敵対的TOBを実施した。11月には株式の約47%を握るコロワイドの株主提案が可決。経営陣は刷新され、コロワイド出身の蔵人賢樹氏が大戸屋ホールディングスの社長に就任した。ちなみに21年3月期の第2〜3四半期時点で同社は債務超過となっていたが、コロワイドからの増資により救われ、期末には債務超過を解消している。

■「離脱者層」の呼び込みに熱心

現在、大戸屋ホールディングスはコロワイド傘下にて業績回復を目指すべく、さまざまな施策を展開している。中でも主軸は「離脱者層」の呼び戻しだ。過去に大戸屋を利用したことがあるものの1年以内に利用していない層を指し、主に30〜40代の男性客がメインだという。

メニューに関して、これまで大戸屋は魚や野菜など女性受けが良い分野を得意としてきたが、男性客を狙うべく近年ではハンバーグやプルコギなど、肉を中心とした重い商品も提供し始めている。現在のメニューを見ると価格帯は900〜1200円であり、トンテキやチキン南蛮、唐揚げなど肉を使った定食が目立つ。

追加料金でチキン南蛮は肉を1.5倍に、唐揚げは3個増量にできる。なお、21年5月の段階では700円台前半のメニューも増やすとしていたが、原材料費・人件費の高騰もあって頓挫。22年10月には再度値上げを実施している。

話題の大戸屋がっつりメニュー(全6枚)
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以下全文はソース先で

ITmedia 2023年11月25日 05時00分
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2311/25/news011.html