【ワシントン金子渡】11月の米大統領選に向けた共和党候補指名争いでトップに立つトランプ前大統領(77)が2021年の議会襲撃事件を巡り、ライバル候補のヘイリー元国連大使(52)に対して「彼女は議会の警備担当だったが、十分な対応を怠った」と事実誤認の批判を繰り返した。当時の下院議長だった民主党のペロシ氏と間違ったとみられる。ヘイリー氏は「トランプ氏は大統領として精神的に不適格だ」と反撃を強めている。

 トランプ氏は19日、次戦の党予備選が行われる東部ニューハンプシャー州の集会で「(議会襲撃事件の際)私はヘイリー氏らに軍隊など何でも望むものを提供したが、彼女はそれを断った」と発言。だが、ヘイリー氏は当時、政府要職に就いておらず、事件があった21年1月6日はサウスカロライナの自宅にいたという。

 トランプ氏は、民主党のバイデン大統領(81)の誤発言を「精神的に大統領にふさわしくない」とたびたび攻撃してきたが、自身も高齢による認知能力の低下を露呈させた格好だ。

 政治サイト、リアル・クリア・ポリティクスによると、ニューハンプシャー州予備選の支持率平均はトランプ氏49・7%、ヘイリー氏34・0%。一部の調査ではヘイリー氏が数ポイント差まで追い上げているとの結果もあり、接戦が予想される。ヘイリー氏は「トランプ氏は混乱して誤った発言を3度も繰り返した。高齢者2人による大統領選にしてよいのか」と世代交代の必要性を訴えている。

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