岸田内閣の閣僚に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題が6日、再燃した。衆院予算委員会で、新たな攻撃材料を手にした野党は攻勢を強め、自民党派閥の裏金事件や政権の看板政策「異次元の少子化対策」でも追及。防戦を強いられる岸田文雄首相の答弁にはほころびが目立ち始めた。

 「これはとんでもないことだ」。立憲民主党の長妻昭政調会長は、盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選に際して旧統一教会の関連団体から推薦状を受け取っていたとの報道を取り上げ、こう批判した。盛山氏はこれまで、関連団体の行事に1度出席しただけと説明していたためだ。

 関連団体の推薦状を手にする写真も報じられた盛山氏は「写真があるなら受け取ったのではないか」「記憶があれば(自民党に)報告していた」などと歯切れの悪い答弁に終始した。

 首相は、教団との関係を断つとした自民方針を「閣僚に対していま一度確認する」として、追及をかわそうとした。しかし、立民の山岸一生氏は閣僚と教団の接点を再点検し、7日の予算委で報告するよう繰り返し要求。立民幹部は「他の閣僚でも出てくる可能性がある」とにらむ。

 岸田政権としては、旧統一教会の解散命令請求を行い、被害者救済法を成立させて区切りを付けたはずだった。ある自民党中堅は「新たな問題が出たら説明するしかない」と危機感を示す。

 野党は裏金事件の追及を続行。長妻氏は、派閥を「政策集団」として存続する意向の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長に照準を合わせ、派閥離脱を促すよう首相に迫った。

 首相は党政治刷新本部の中間取りまとめに触れ、「カネと人事を切り離し、派閥を解消すれば、派閥離脱は事実上達成できている」と強調したが、立民の岡田克也幹事長は「へ理屈だ」と切り捨てた。

 首相の苦しい答弁は「異次元の少子化対策」でもうかがえた。財源に充てる支援金制度に関し、国民1人当たりの負担額は平均で月500円弱との見通しを示す一方、「歳出改革と賃上げで、実質的な負担は生じない」と答弁し、理解を求めた。

 しかし、自民党内からでさえ、「支援金を負担増でないというのは強弁だ。派閥も中間取りまとめをもってなくなったと言うのは無理がある」(ベテラン)との声が漏れている。

時事通信 2024年02月07日07時04分
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