安倍晋三首相は24日の衆院予算委員会の閉会中審査で、学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡り、友人の加計孝太郎理事長から「働きかけや依頼は全くなかったと明確に申しあげたい」と述べた。

新設計画を知ったのは学園が特区の事業主体に認定された今年1月20日だと説明。参考人の和泉洋人首相補佐官は、前川喜平前文部科学次官に首相の意向として対応を促したとされる自らの発言を否定した。

予算委には獣医学部新設が「総理のご意向」などと発言したとされる藤原豊前内閣府審議官や、国家戦略特区諮問会議特区ワーキンググループ座長の八田達夫大阪大名誉教授らも参考人として出席した。
首相は加計問題について「私の友人にかかわることで国民から疑念の目が向けられたことはもっともだ。今までの答弁でその観点が欠けていた。足らざる点があったことは率直に認めないといけない」と釈明した。

そのうえで、獣医学部新設を巡り便宜を図るよう指示したことがあるかを問われると「岩盤規制改革をスピード感をもって進めるよう指示してきたが、個別の案件について指示したことは全くない」と否定した。

前川氏は和泉氏から昨年9月、獣医学部新設に関し「総理は自分の口からは言えないから私が代わって言う」と告げられたと重ねて証言。
この内容を当日中に文科省高等教育局専門教育課に伝えたと明らかにした。和泉氏が具体的に加計学園と明示したかを巡っては「加計学園しかないと共通の理解を文科省の中で持っていた」と語った。

これに対し、和泉氏は「そんな極端な話をした記憶はない。言っていない」と否定。「一般論として(規制改革は)スピード感が大事だと言ったが、加計学園については一切、言っていない」と述べた。
藤原氏も「私から総理の意向を発言したことはない」と答弁した。

獣医学部設置認可を巡る手続きを巡り、山本幸三地方創生相は「加計学園が候補に挙がっているので、問題が起こらないようにしなければならないと思った。
一点の曇りもないルールに従ってやった」と主張。八田氏は「議論の経過は議事を公開している。一般の政策決定よりはるかに透明性の高いプロセスだ」と語った。首相は「運用のプロセスについて強化することは考えている」とも語った。

自民党の小野寺五典氏や民進党の大串博志氏への答弁。24日の予算委に参考人招致されていた日本獣医師会幹部は欠席した。予算委に先立つ理事会で「都合がつかない」などと報告された。25日には参院予算委も閉会中審査を実施する。

配信 2017/7/24 12:47
日本経済新聞
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