2018年3月29日 朝刊

 東京都大田区の認可外保育施設(閉園)で二〇一六年三月、生後六カ月の山本心菜(ここな)ちゃんが死亡した事故で、都の検証委員会は二十八日、区市町村と連携して施設への指導を強化することなどを都に求める提言をまとめた。両親は都庁で記者会見し、提言で問題がある保育施設への閉鎖命令に積極的な姿勢がみられなかったことに不満を述べた。

 報告書によると、心菜ちゃんは同年三月十六日午後十一時五十分ごろ、認可外保育施設「蒲田子供の家」でぐったりしているのを園長が見つけた。保育士の資格がない園長が一人でゼロ〜三歳の五人をみており、ミルクを作るため目を離していたという。心菜ちゃんは搬送先の病院で死亡が確認され、ウイルス性の気管支炎の可能性が高いとされた。

 都は施設に対し、〇二年度以降ほぼ毎年、基準を満たしていないと指摘していたが、改善されなかった。事故後、都は改善勧告を出し、昨年三月に閉園した。

 検証委は、施設が保育知識や技術の専門性などが不十分な中で運営され、都の日常的な指導や助言も不足していたと指摘。都内に千カ所以上ある認可外保育施設に対し、区市町村と連携して指導、改善させることや、保護者への積極的な情報の公表などを提言した。国にも、保育の質の向上に取り組むよう求めた。

 都は新年度予算案で、区市町村が巡回指導するための財政支援を盛り込んだ。会見で母親(31)は「もう娘は帰ってこない。問題があると都も分かっていて営業させていた。保育士がいない施設には、閉鎖命令を出すぐらいに厳しく指導してほしい」と訴えた。父親(34)は「事故を繰り返さぬよう、再発防止にきちんと取り組んでほしい」と話した。 (奥野斐)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018032902000124.html