もう3月末なのに「追加合格」って?
3月28日 18時57分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180328/k10011382861000.html?utm_int=netnewsup_contents_list-items_002

「第一志望の大学に追加合格した!」「まさかの合格きた!」
大学受験生のこんなツイートがここ数日、ネット上をにぎわせています。でも、もう3月の最終週。入学式は目と鼻の先です。なぜこんな時期に「追加合格」なのでしょうか?調べてみると、ある事情がありました。
(ネットワーク報道部記者 宮脇麻樹・郡義之)

相次ぐ“追加合格”の投稿
受験シーズンは終わったはずのこの時期、ネット上では志望大学から「追加合格」の連絡が来たというツイートや、吉報を待ち望むツイートが相次いで投稿されています。

でも、なかには突然の合格通知に「この時期に言われても困る」とか、「家が近い子ならまだしも一人暮らし前提の人は間に合わない」といった声も。

記者が受験を経験したおよそ20年前はこんなことはなかったと思うのですが…。一体何が起きているのでしょうか?

背景には文科省の政策が
調べてみると、その背景には、文部科学省が3年前に発表した私学助成などについての政策転換が関係していることがわかりました。

これは「大学が定員を超過して学生を入学させた場合、これまでよりも厳しい基準で補助金をカットしますよ」というものです。

これによって、例えば定員8000人以上の大規模な私立大学の場合、それまで入学定員の「1.2倍以上」にならない限り、補助金が支給されていたのに、「1.1倍以上」から全額が支給されなくなりました。私学助成の基準を厳しくした理由には、東京・大阪・名古屋の三大都市圏に学生が集中している現状を是正しようという狙いがありました。

しかし、この厳格化を受けて、定員を超えないよう、まず少なめに合格者を発表して、様子を見ながら追加で合格者を出すという大学が増えてきているのです。

一般社団法人日本私立大学連盟によりますと、私立大学の収入のおよそ8割が入学金や授業料、1割弱が補助金だそうです。大学側としては、“補助金が支給されないという事態は避けたい。でも定員をあまりに下回るのは経営として困る”ので、少なめに合格者を出して、後から追加する形にならざるをえないのだということです。

「特に定員が少ない大学では10人、20人の定員の読み違えが経営上のリスクになってしまいます。合格したらほとんどの人が入学するような人気のある大学はいいですが、そうでない大学では、ほかの大学の合否の兼ね合いによって定員調整に手間がかかり、より難しく、より長期化してしまうのです」(日本私立大学連盟)

大学も対応に苦慮

追加合格を出した大学にも話を聞きました。

関西地方のある中堅大学では今週、追加合格者を複数の学部で発表。担当者によりますと、入学手続きの締め切り日になっても定員割れを起こしていたため、追加合格に踏みきったということです。学部によっては数十人規模の追加合格となり、こうした事態は初めてのことだそうです。

大学では、この時期に入学手続きを進めるには事務的な手間がかかるうえ、何より受験生に大きな負担をかけてしまうことから、来年の1次合格者の人数はより慎重に設定したいとしています。

一方で、大学の担当者は「人気の高い大学が合格者を絞ることで、そこに入れなかったけれども優秀な学生がうちの大学に入ってくる可能性もある。そうなれば、学生の質も上がるし、ありがたい話だ」と期待もにじませていました。

ただ、規模がより小さく、名の知られていない大学ではそうもいきません。人気校が追加合格を出せば、その分、ほかの大学への入学を辞退する学生も出てくるため、しわ寄せを受けやすいからです。

西日本にある小規模大学では、今月下旬になって数人の追加合格者を発表しました。2年連続のことだそうで、入学式を間近に控えた今でも学籍番号の発行などの事務作業に追われているということです。

この大学の入試担当者は「偏差値上位校の動向をにらみながら必要な学生数も確保しなければならず、神経がすり減る思いだ。来年の入試でも追加合格の対応を取らなければならないだろう」と話しています。

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