日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の安全審査の資料が無断で書き換えられていた問題で、原子力規制委員会は4日、書き換えや削除が計80カ所になるとした原電の報告書について、データの一部が不開示で内容が不十分だとして再提出を指示した。規制委は原電との信頼関係が築けるまで、審査を再開しないとした。

 安全審査を巡っては、2号機の原子炉建屋の直下に活断層があると指摘されている。審査の結果、規制委が活断層と認定すれば廃炉が決まることから、規制委の判断が注目されている。その中で、規制委は2月、断層に関する資料のデータに無断での書き換えが複数あると指摘。「非常に問題が多い」として原電に報告書の提出を求め、原電は5月に報告書を出していた。

 規制委の審査担当者は4日の審査会合で、原電の報告書には資料の根拠となる10カ所の掘削調査に関するデータが盛り込まれていなかったと指摘。内容も「あまりに表面的」で規制委が求める内容に達していないとした。報告書を再提出するにあたって原電の責任を明確化させるため、社内のチェック体制を文書化して提出することも求めた。

 会合後、規制委の担当者は「一番重要な部分を隠しているようにしか見えない」と話した。【荒木涼子】

毎日新聞2020年6月4日 22時01分(最終更新 6月4日 22時02分)
https://mainichi.jp/articles/20200604/k00/00m/040/363000c