乗り物ニュース5.23
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建設遅れた南北線、不遇な歴史の三田線
「乗りものニュース」では2021年4月23日(金)から4月26日(月)にかけて、東京の地下鉄路線に関するアンケートを実施。907人から回答が集まりました。
 
そのなかで、「利用したことがない路線、あまり利用しない路線はどれですか」との質問で最も回答が多かったのが、「東京メトロ南北線」51.8%、その次が「都営地下鉄三田線」45.4%でした。その次の東京メトロ副都心線33.5%と比べても、南北線と三田線の数値は圧倒的といえます。

どちらの路線も南側で東急目黒線と直通し、目黒〜白金高輪間は共用区間、そこから南北線は皇居の西側、三田線は東側へと伸びていきます。南北線は赤羽岩淵駅から埼玉高速鉄道線に直通し浦和美園駅まで、三田線は白山通り・国道17号沿いに板橋区へと北上し、高架区間となったのち板橋区の西北に位置する西高島平駅まで運行されています。

両路線が比較的地味な理由のひとつとして、山手線の大ターミナル駅に接続していないことが挙げられるでしょう。目黒のほか、南北線の接続駅は駒込、三田線は田町(三田駅と接続)と巣鴨であり、いずれも主要駅とは言い難いところです。この点は、「利用したことがない、あまり利用したことがない」で回答が多かった都営地下鉄新宿線や浅草線などとも共通しています。

もうひとつ、南北線に関しては比較的歴史が浅いことも影響しているかもしれません。南北線は車両基地用地の問題などから他路線よりも建設が遅れ、1990年代以降に開業しました。そのぶん、ワンマン運転を実施したり天井部近くまで達するホームドアを開業時から備えていたりと、様々な新機軸が盛り込まれました。

一方の三田線は、1968(昭和43)年の志村(現・高島平)〜巣鴨間の開業を皮切りに、1976(昭和51)年には西高島平〜三田間がつながりました。しかし、西高島平から東武東上線に乗り入れる計画が中止され、三田から先も計画では東急池上線に乗り入れるはずだったのが、目黒線に変更されるといった紆余曲折を経て、全線開通(三田〜目黒間の開通)は2000(平成12)年までずれ込んでいます。

南北線&三田線の「便利なところ」教えて!
南北線の駅ホームには天井部まで達するホームドアが開業時から設置されている。

直通運転している東急目黒線から、あるいは埼玉方面から溜池山王や飯田橋といった山手線の中心部に近い場所へ直接アクセスできるルートの利便性を評価する声が見られました。たとえば、王子駅で接続するJR京浜東北線が本郷台地のふもとを通っているのに対し、南北線は本郷台地を突っ切っているのが特徴です。

また、「京浜東北線が止まったときの『おさえ』として」という声も。人身事故の少ない南北線を、JR線各が運転を見合わせている場合などのサブルートとして考えている人も少なくないようです。

●三田線
三田線もまた、山手線内の南北を移動するルートですが、こちらは内幸町(新橋駅に至近)や日比谷、大手町など山手線東側の主要地区にアクセスできます。

また、「遠回りをしてないので短時間で行ける」というのは、三田から板橋の志村坂上に至るまで、ほぼ主要道路の下を通り、直線的な区間が多い路線の特徴を突いた意見といえるかもしれません。

間もなく大化けする?
南北線、三田線とも、東京メトロおよび都営地下鉄のなかでは最も輸送人員が少ない路線ではありますが、両路線とも着実に利用者数を伸ばしており、今後はさらに「大化け」する可能性もあります。

2022年度下期には、いわゆる「相鉄・東急直通線」が開業し、相鉄線から東急東横線・目黒線の双方に直通列車が走る見込みです。

その運転系統はまだ公式には発表されていませんが、すでに2019年に相鉄・JR直通線が完成し、相鉄線内から埼京線経由で新宿まで直通していることからも、東急直通線は相鉄線〜東急目黒線〜南北線・三田線系統の直通列車が有力になると見られています。

これに合わせ、南北線・三田線では6両編成から8両編成に対応する工事が進められているほか、三田線には新型の6500形電車も2022年度から導入される予定です。

調査結果
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