毎日新聞2022/2/16 09:31
https://mainichi.jp/articles/20220216/k00/00m/020/023000c

 新型コロナウイルスの感染拡大は、仙台名物として知られるかまぼこの売り上げにも影を落としている。2021年の総務省家計調査が発表され、仙台市の世帯当たりの支出額はトップだったが、過去2年はピーク時の半分近くにとどまっている。背景にはコロナ禍で出張や帰省が減り、手土産の定番「笹かまぼこ」の需要が落ち込んだことなどがあるようだ。【面川美栄】

 ◇「笹かま」需要落ち込む

 総務省は、県庁所在地と政令市の2人以上の世帯を対象に、消費に使った金額を品目ごとに調査した。集計には贈答品としての購入も含まれる。1位の仙台市のかまぼこの支出額は8128円で、全国平均の3050円の約2・7倍に上った。2位は長崎市の6043円、3位は富山市の4998円だった。

 現行の統計を始めた00年以降、仙台はトップの座を守り続けているが、19年まで4年連続で1万円を超えていた支出額は、新型コロナの感染が拡大した20年に7809円まで減少。過去最高だった01年の1万5354円の半分近くまで落ち込み、2位の長崎との差も702円まで縮まった。21年はやや持ち直して長崎との差も2085円に広がったが、世帯消費が1万円に届かない状況が続く。

 「仙台蒲鉾協同組合」(仙台市青葉区)の事務局を務める阿部馨一郎さん(54)は「笹かまぼこは仙台土産の定番。コロナ禍で出張や帰省が激減し、土産需要が減ったのが響いたのでは」と分析。「武田の笹かまぼこ」(塩釜市)の武田武士社長(45)は自宅での消費も「リモート生活が続き、日持ちしないかまぼこより、冷凍食品を買う人が増えたのではないか」と話す。

 一方、21年の支出額が前年より微増したことについて、阿部さんは「コロナが落ち着いた時期に仙台駅の売店の売り上げが伸びた」と指摘。ほかの組合員からは、お歳暮など贈答品として高額の商品を注文する人が増えたという声も聞かれた。

 仙台市は、昨年のワカメの世帯当たりの支出額(2702円)も、全国平均の約1・8倍でトップだった。

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 ◇1世帯当たりのかまぼこ購入額

1位 仙台市 8128円

2位 長崎市 6043円

3位 富山市 4998円

4位 福島市 4242円

5位 高知市 4191円

 (総務省調べ)