2022年3月16日7:50 午前3時間前更新
日本政府、ロシアへの「最恵国待遇」停止の方針固める=関係筋
https://jp.reuters.com/article/japan-russia-idJPKCN2LC2OO?feedType=RSS&;feedName=special20


https://mainichi.jp/articles/20220315/k00/00m/030/256000c
 ウクライナ侵攻に対する追加経済制裁として主要7カ国(G7)が打ち出した「最恵国待遇」からのロシア排除を巡り、政府は15日、排除する措置を発動する方針を固めた。カニやウニといったロシア産水産物について関税率を引き上げる方針で、必要な改正法案を今国会に提出、成立を目指す。

 最恵国待遇とは、関税率の優遇など、ある国に与えた最も有利な待遇をすべての加盟国にも適用するもので、加盟国を平等に扱う世界貿易機関(WTO)の基本原則の一つ。ロシアはWTOに2012年に加盟し、日本は他の加盟国と同じ関税率をロシアからの輸入品にも当てはめている。

 G7首脳は11日、追加制裁として最恵国待遇をロシアに与えないよう「各国が手続きを進めるよう努める」との方針を発表した。バイデン米大統領は同日、関税率の優遇措置撤回を表明。カナダは既にロシアからの輸入品に35%の高関税を課す方針を示している。

 日本も米欧と歩調を合わせ、ロシアを関税率の優遇から外す方針だ。一方で、カナダのような追加的な高関税の導入は見送る。

 関税率の優遇から除外されれば、ロシア産のカニは4%から6%、ウニは7%から10%、サケなどは3・5%から5%にそれぞれ関税率が上がる。また、ロシアからの主な輸入品である液化天然ガス(LNG)や石炭などは、優遇前から関税率がゼロだ。「全体として大きな制裁効果は見込みにくい」(経済官庁幹部)。

 このため、政府は水産物などについて輸入そのものを禁じる「禁輸」も検討する。「関税率をいじるよりも制裁の効果が高い」(外交筋)ためだが、輸入が止まれば食卓への影響は避けられないため、情勢を見極める方針だ。

 通商政策に詳しいみずほリサーチ&テクノロジーズの菅原淳一主席研究員は「グローバルな通商体制からロシアを排除する意思表示であり、政治的意味は大きい。ただし、為替変動など別の要因もある中で、関税率を変えるだけでは制裁効果は小さく、一部品目の禁輸措置もあり得る」と指摘する。【浅川大樹、松倉佑輔】