0001七波羅探題 ★
2023/05/09(火) 18:15:56.33ID:+WezoAdd9https://toyokeizai.net/articles/-/671061
4月下旬、「子どもの声は騒音ではないとする法律」の制定を政府が目指しているという報道がありました。岸田総理が掲げる「異次元の少子化対策」の一貫でしょうが、数カ月前に大きな話題となった長野市の青木島遊園地の廃止問題が念頭にあるのも間違いないでしょう。
政府関係者は「ドイツでは、法律で騒音の定義が『騒音(こどもを除く)』となっている。日本も一部の自治体で条例として定められているが、それをもっと広めていきたい」とコメントし、岸田総理自身も「これこそ次元の異なる政策であると考えて、これからも政策を進めていきたい」と、前向きな発言を行っていました。(いずれも「TBS NEWS DIG」より)
■子どもの声は“騒音”なのかという議論
これに対しネット上では、「こんなことを法律で決める時代になってしまったのか」「法律で決めたところでうるさいものはうるさい」「子どもが子どもらしく遊べる環境を作るのは大歓迎だ」など賛否両論が沸騰しました。
しかし、その後のこども家庭庁への取材では、「今のところ課題として対応している事実はない。将来もどうなるかはまだはっきりしない」(東京新聞)と、歯切れの悪い回答だったとのことでした。とはいえこのまま動きが消滅するとは考えづらく、今後、どのような展開になるのかが大変気になります。
ちなみに、上記の政府関係者の発言にあるドイツの法律とは「連邦イミシオン防止法」のことであり、これは公害関係の排出規制法に相当するものです。騒音も排出規制の対象に含まれていますが、保育園などへの騒音訴訟が相次いだため、2011年に子どもの声を対象から外す改正を行い、賠償請求訴訟等を原則認めないこととしたのです。
また、条例を定めている一部の自治体とは東京都のことであり、東京都では「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(略称:環境確保条例)が制定されています。その第136条には「何人も、(中略)、規制基準を超える(中略)騒音、(中略)の発生をさせてはならない」となっています。
従来は、この「何人も」の中には子どもも含まれるという解釈ができたため、2015年3月にこの条例の改正を行い、子どもの声や保育園等で発生する音(音響機器や遊具の音など)を条例の数値規制から除外することにしたものです。その後は、受忍限度で判断されることになります。
このように、これらの改正は子どもの声を“騒音”から除外するというよりも、 “公害騒音”から除外するという趣旨であることには注意が必要です。
■いつから子どもの声は“騒音”とされるようになったのか
子どもの声が“騒音問題”として最初にマスコミに登場するのは、朝日新聞が2000年の年初から始めた連載記事「少子の新世紀」の中の滑り台の記事でした。
「子どもの遊び声がうるさい」として滑り台の設置場所が転々とし、最終的に交通騒音のうるさい道路端の公園に落ち着いたというもので、その後のコラムなどでは「さまよう滑り台」と呼ばれました。ここでも、子どもの声が少子化問題とリンクして扱われていたことは興味深い事実です。
その後、子どもの声や学校への騒音苦情が多発するようになり、2006年には熊本市の小学校体育館から発生する子どもの声やボール音がうるさいとして損害賠償を求める訴訟が提起されました(後に和解成立)。
他にもさまざまな訴訟が提起され、中でも特に社会の耳目を集めた子どもの遊び声の騒音問題は、東京都西東京市のいこいの森公園での騒音差し止め請求事件でした。
市町村合併で発足した西東京市が、合併記念事業として研究施設の跡地に新たな市民公園を建設しましたが、そこには水が間欠的に吹き出す噴水の遊び場が設置され、子どもたちの遊び声や歓声が響くようになりました。
公園脇に住居を構える女性が子どもの声がうるさいと市側に対策を求めましたが、市は子どもの声は騒音ではないとこれに応じなかったため、女性が東京地裁八王子支部に騒音の差し止めの申し立てを行い、子どもの声が騒音かどうかの司法の判断が下されることになったのです。
結果は女性の申し立てを全面的に認め、噴水の停止が決定しました。この場合は保全事件のため決定文の内容は非公開となっていますが、他の訴訟の証拠資料として提出された記録によれば、その決定文の中で裁判官は次のように述べています。
※以下引用先で