三次市で農業を営むひとり暮らしの男性が、地域の若者たちの大学進学を手助けする独自の「育英会」創設を計画している。自身も奨学金を受けて大学を卒業した経験などから、遺産を社会に役立てたいと発案。原資は太陽光発電の売電収入を充てる計画で、すでに施設は稼働している。

 計画を進めているのは、同市上田町の宗片康修さん(77)。福山市で食品販売会社を経営していたが、引退後、10年ほど前から三次市に移り住んで農業を始めた。3年前、太陽光発電の売り上げを奨学金にできないかと思い立ち、同市三和町に約千平方メートルの土地を借りて今年4月、施設が完成した。

 中国電力と20年間の売電契約を結んでおり、売り上げは年間100万円あまりになる見込み。建設費などに約1400万円を投資したが、減価償却分は計算せず、2千万円あまりになると見込まれる20年分の売り上げの大部分を奨学金に充てたいとしている。

 奨学金の支給対象は、宗片さんが暮らす上田町から進学する学生で、1人あたりの総支給額は月額4万円を4年分として200万円弱を想定。「借金を返す心がけや努力は人格形成に役立つ」との考えから、返済を求める形の奨学金にしたいという。

 宗片さんは、この奨学金制度を自身の死後に発足する「遺産」としたい考え。手続きなどは今後、検討を進めるとしている。

2017.5.31 14:19 産経新聞
http://www.sankei.com/smp/west/news/170531/wst1705310061-s1.html

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