http://www.sankei.com/smp/world/news/171229/wor1712290032-s1.html

 【桃園=田中靖人】台湾の蔡英文総統は29日、北西部・桃園市で内外メディアの記者と会見し、中国軍機が台湾周辺での活動を活発化させているとして、「(中国の)軍事拡張の意図がますます明確になっている」と警戒感を示した。その上で、軍事予算を「合理的な範囲で成長させる」と述べた。一方、中国の指導層は「理性的だ」とし、台湾への武力行使の可能性は低いとの見方を示した。

 停滞している中台関係については「交渉は必ずしも問題解決の唯一の方法ではない」と述べ、台湾側からは積極的に対話に乗り出さない姿勢を示した。

 会見は、桃園にある国防部(国防省に相当)関連の研究開発機関「中山科学研究院」で行われた。中国軍の活動が活発化する一方、台湾側は掃海艇の建造計画が混乱するなど、内外の安全保障環境に課題が浮かぶ中で改めて「国防自主」の意志を示す狙いがある。

 このほか蔡氏は、若年層の給与増額など内政課題に引き続き取り組む姿勢を強調した。蔡氏の支持率は20%台で低迷しており、「毎晩家に帰ると、本当に(改革を)続けていく必要があるのかと何度も考える」と心境を吐露する場面もあった。