日本の伝統医療が辛うじて、WHOの世界基準に滑り込む形となる。

 日本の関係者が尽力した成果だが、中国が国策として伝統医療の世界展開を図っているのと比べ、日本の体制はあまりに脆弱(ぜいじゃく)。高齢社会の進展とともに漢方などのニーズが高まる一方、漢方の原材料となる生薬の8割が中国からの輸入であるなど、“チャイナリスク”にさらされているのが現状だ。(天野健作)

■10年前「黒船来襲」

 「まさに黒船だった」

 約10年前、突如中国が自国の伝統医療を世界標準化すると告げ、日本側の対応を迫った。「日本の伝統医療が亜流になり、最悪の場合、日本の漢方や鍼灸の廃止を中国から求められる。これはまずい、となった」。日本の医療関係者はこう振り返った。

 中国は伝統医療を法制度化し世界戦略を描く。2015年には、中国の屠●(=口へんに幼)●(=口へんに幼)(とゆうゆう)さんが漢方薬を研究し、マラリア治療薬を発見した功績で、ノーベル医学・生理学賞を受賞。これを契機に漢方薬の産業の強化を目指しているという。

 日本漢方生薬製剤協会によると、平成17年に約1118億円だった日本での漢方薬の生産額(国産と輸入)は、27年に1・5倍の約1670億円になった。しかし医療関係者は「日本は伝統医療の産業の強化を考えていない。共有資源として活用せず、中国や韓国に後れを取るばかりだ」と嘆く。

 厚生労働省には、西洋医学と東洋医学の統合を考える「統合医療企画調整室」が2年前に設置されたばかりで、担当者8人が兼務の状態。担当者は「(東洋医学の)エビデンス(証拠)の収集などを研究する段階にあり、決まった政策はない」と話す。

■製薬会社撤退も

 漢方薬にも健康保険が適用されるが、西洋薬と同様に薬価制度の下、毎回のように引き下げられている。輸入に頼る生薬の高騰で、撤退する製薬会社もある。

 日本の伝統医療が専門の未来工学研究所の小野直哉主任研究員は「高齢社会の中、症状の緩和や生活の質を上げたいというニーズが増えている。そこに鍼灸や漢方などが寄与できる可能性がある」と期待する。

配信2018.1.9 08:40
産経ニュース
http://www.sankei.com/world/news/180109/wor1801090015-n1.html

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