発達障害理由に不合格は「差別」…県に賠償命令
2018年04月11日 07時48分

職業訓練を受けるための選考試験で、発達障害だったために不合格とされ、
精神的苦痛を受けたとして、高知市の男性(61)が、
試験を実施した高知県に165万円の損害賠償などを求めた訴訟で、
高知地裁は10日、不合格は発達障害が理由と認めて「差別にあたる」とし、
33万円の支払いを県に命じる判決を言い渡した。

判決によると、男性は2013年8月、物忘れが多くなったため勤務先を辞め、発達障害と診断された。
14年4月、高知県の介護職員初任者研修を受講するための選考試験を受け、
定員割れで筆記試験は成績上位だったのに、面接試験が最下位の評価で不合格にされた。
男性は面接試験で発達障害と説明していた。

県は訴訟で、不合格の理由として「臨機応変に対応することができず、
研修を受講、修了するのに支障があった」と主張していた。

西村修裁判長は判決で、男性が直後に受けた国の介護職員実務者研修の試験には合格し、
研修の受講成績も優秀だったと説明。「受講、修了に支障があったとは言えない。
高知県は発達障害を理由に必要以上に厳しく評価した」と指摘した。

男性は現在、老人ホームで介護助手として働いているという。
判決後の記者会見で「誤解と偏見こそが共生社会にとっての障害。
高知県は、障害者の社会参加を実現する道筋を確保すべきだ」と話した。

高知県の担当者は「主張が認められず残念。判決内容を検討したうえで対応を考えたい」と話した。

YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/national/20180411-OYT1T50004.html