西の牛、東の豚」という嗜好分布はなぜ生まれたのか。統計データ分析家の本川裕氏は「西日本では農耕に牛を使うことが多く、老廃牛の肉に親しみがあった。一方、東日本の農耕は馬が多かったことの影響が考えられる」という――。(後編/全2回)

■「西の牛、東の豚」という地域構造はいつからのものか? 

 「西の牛、東の豚」。地域によって肉の嗜好の差が見られるようになったのは、いつ頃からなのか。最近の傾向なのか、以前からの傾向なのだろうか。

 前編では、地域別の肉の嗜好を探った(図表2、3)。だが、この図表は地域的な特徴を際立たせるには効果的だが、時系列変化を追うのには適さない。そこで、同じ家計調査の県庁所在市別のデータを用いて、牛・豚・鶏の購入金額構成比を計算し、最大限データを過去にさかのぼった50数年前と現在とで比較してみよう(図表6参照)。
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■豚肉と鶏肉を食べなかった地域の人が食べるように

 一見して分かる通り、50年数前には、牛肉と鶏肉の「西高東低」、豚肉の「東高西低」の地域構造は今より明確だった。現在も、そうした傾向は残っているものの、かつてと比べると明確ではなく、物流の進化などにより食のパターンの全国平準化が進行したことをうかがわせる結果となっている。

 全国平準化の進行は、こうした「東西」といった大きな地域別の傾向の変化とともに近隣県どうしの差異が小さくなった点にもあらわれている。図では近隣県における割合の差をあらわすギザギザがずいぶん滑らかになっていることからそれがうかがわれる。

 平準化の指標としては、「データのばらつき」の程度をあらわす変動係数が使われることが多い。肉の地域別消費額の変動係数を調べてみると、図表7で見るように、牛肉、豚肉、鶏肉の値は、それぞれ、この50数年の間に3割減、8割減、7割減とすべてで大きく値を減少させている。つまり、「データのばらつき度」が下がり、平準化していることを表している。特に、豚肉と鶏肉のばらつき度の低下はめざましい。これらと比べると、牛肉は、なお、東西差がかなり残っているといえる。

■50年数前より牛肉の「西高東低」の格差が縮小

 牛肉消費は図表6で分かるように、かつては、北陸、近畿、中四国で特段に多く、豚肉消費の多かった東日本で全体的に少なく、西日本でも鶏肉消費が多い九州では比較的少なかった。こうした傾向は今でも成り立っているが、明らかにその程度は弱まっている。

 鶏肉消費は、かつては、純粋に西高東低の地域構造をもっており、九州がもっとも割合の高い地域となっていた。今は、消費が全国的に平準化した中で、東北と九州がやや多いというパターンになっている。

 なぜ、鶏肉の消費が全国的に平準化したのか。

 養鶏は、養豚や肉用牛と比べても飼料代が経費として大きいので、飼料の運搬費もバカにならない。わが国では、飼料は主に輸入に頼っている。その飼料の輸入・生産拠点は、東日本の太平洋岸と南九州に集中立地している。鶏肉消費が東北と九州で多いのは、そこから遠くない地域にブロイラー生産が集積している影響があると考えられる。

12/10(火) 9:30配信   続きは↓で
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191210-00031351-president-soci

★1が立った時間 2019/12/10(火) 15:34:46.71
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