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「100年後まで残る漢字を作ってみませんか」をテーマに募集した「第10回創作漢字コンテスト」(産経新聞社、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所主催)は、最高賞の「白川創作漢字最優秀賞」に広島市の中学生、竹町美香さん(13)の「かいようおせん=海洋汚染」と京都市の安野知子さん(44)の「うれしすぎる」が選ばれた。

 社会人・大学生が対象のA部門と高校生が対象のB部門、小・中学生が対象のC部門を合わせて、2万778点の作品が寄せられた。

 入賞作は最優秀賞2点をはじめ、富国生命優秀賞(A部門)、Z会優秀賞(B部門)、Z会優秀賞(C部門)各5点、全応募者が対象の富国生命・審査委員長特別賞8点、佳作10点など計35点、学校賞2校。

■時事的課題を表現

審査委員長 加地伸行氏

 全体として、小中高校生の健闘に敬服した。わけても、中学校の先生たちが積極的に指導・送付してくださっていることに感謝。

 何度か説明したことであるが、創作漢字に大きく2系列がある。1つは伝統派、いま1つは絵画(ビジュアル)派。

 今回も伝統派の「かいようおせん=海洋汚染」、絵画派の「うれしすぎる」2点が最優秀賞。わけても前者は海洋汚染という世界的かつ時事的課題を表現した中学生作品。おみごと。後者は令和の御代の歓喜でもある。バンザーイ。

時事的といえば、車のあおり運転の作品が多かったが、今回入賞の「ドライブレコーダー」以外は残念。流行のタピオカに関する作品も非常に多かったが、決定打なし。結局タピオカ周辺で、今回の入賞は「すとろー=ストロー」のみ。

 この創作漢字コンテストは今回で第10回。それを記念して70歳前後以上の方々の作品から選ぶ富国生命・審査委員長特別賞〈長寿者〉を設けた。最高齢93歳の作品「もくそく=目測」には脱帽。

同じく富国生命・審査委員長特別賞に〈祈り〉を設けた。偶然ながら宗教の本質を含んだ中・高生作品2点を見いだした。両者ともに「苦しいときの神だのみ」を底に、1つは困苦のとき玉串(木)を納め、いま1つは十字を切る姿。鮮やかに多神教の神道、一神教のキリスト教それぞれの〈祈り〉を表している。

 小中高校生の一部の投稿者に注意。他人の作品(例えば、過去の創作漢字コンテスト入選作)の盗作をしないこと。人まねするくらいなら応募しないこと。人間、志が大切。

 今日、他人の物まねではなくて、独創が尊ばれてきている。小中高校生は、暗記(知識蓄積)も大事だが応用(創造中心)はもっと大事と心得て、今回の入選作を研究し、次回、がんばってまた応募を。

2019.12.23 09:30
産経新聞
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