相談先を多く持つことが大切だ(写真/iStock)
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  入学や進級に伴い、何かと変化が多い時期。とくに子どもの発達に特性がある場合、新しい環境になじめるだろうかと不安に思うことでしょう。小学校入学後でも通級指導学級/特別支援教室等の支援を利用するのか、悩む親は少なくありません。

「AERA with Kids春号」(朝日新聞出版刊)では、Twitterやブログ「うちの子流〜発達障害と生きる」などで発達障害児との日常や学校での様子を発信し、話題となっているなないおさん(仮名)に取材。姉(新中3)と弟(新中1)で異なる特性を持つ子どもたちに寄り添い、悩みながらもベストな選択を目指してきたなないおさんに、発達障害児の学校生活で気をつけてきたことをうかがいました。

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 長女が発達障害と診断されたのは4歳のとき。ADHDと同時にアスペルガーの特性もあるとわかり、驚きました。2歳だった息子も念のため診てもらうと広汎性発達障害とのこと。手がかからない子でしたが、人とのかかわりを好まない傾向は確かにありました。

 小学校入学時には通常学級(普通級)か通級指導学級(通級)、特別支援学級(支援級)でずいぶん迷いました。娘は、幼稚園と療育での様子から集団行動をとれるとわかっていたのと、多くの友達とかかわりたいタイプだったため、普通級を選びました。

 ただ、障害を理解してくれる環境は欲しくて、月2日の通級を希望。ADHD特有の運動のぎこちなさを補足するためのリコーダーや体育の個別指導、グループの会話に入っていく際のコミュニケーションの取り方などを学びました。3、4時間目にクラスを抜けて別の学校に行くので、周囲に「なんでいなくなるの?」と聞かれ、困ったことも。担任が全員の前で、特別支援とは何かを説明してくれたおかげで、その後はいじめにあうこともなく、ありがたかったです。

 一方、息子は入学前の見学の時点で「支援級がいい」と希望しました。聴覚過敏が強く、大勢の中では刺激が強すぎて疲れてしまうのです。幼稚園の先生からも少人数の落ち着いた環境がいいだろうと言われ、支援学級に進みました。実はうちの自治体には「交流学級」というしくみがあり、国語と算数以外の多くの授業は普通級で受けることに。支援級と普通級、どちらにも居場所があるのはいい環境でした。

 ただ、内容は理解できていても、雑音の中では先生の指示が聞き取れないこと、複数が同時に話す議論は理解が難しいこともあり、やはり普通級での授業は大変でした。ずっと、学校への行きしぶりはありましたね。

 きょうだいともに困りごとがあるときは、すぐ学校に相談していました。例えば、息子が学校に行きたがらない理由をその都度伝えることで、授業を聞き取りやすいように教室前方の壁側に席を置いてもらったり、睡眠障害があって遅刻してしまうことを理解していただいたり。学校の先生には、いきなり「こうしてほしい」「わかってほしい」と言うのではなく、「こんなことで困っている」と相談すると親身になってくれました。

 娘が服薬の調整で、眠気が出たり落ち着きがなくなったりしたときなど大きな相談はできるだけ支援コーディネーターや学年主任の先生にもかかわってもらい、ケース会議を依頼しました。担任と1対1で話して誤解が生じるより、学校でできること、家庭でできることを複数の先生が確認してくれるので、安心感はありました。

 娘は卒業前に、女子グループの強い子から目をつけられてしまい、みんなの前でひどいことを言われたことがあります。それをきっかけに一時不登校になってしまったことも。そんなときも先生が来てくれて「君は悪くないから卒業式に出よう」と勇気づけてくれて、無事卒業できました。

 どんな先生にめぐり合えるか、普通級がいいか、通級・支援級がいいかは人それぞれですが、多くの人に助けてもらうのは本当に大切だと思います。親だけで抱えて、適切な支援が受けられないと結局子どもを傷つけてしまう。できるだけたくさんの関係をつくることが大切だと思います。

「AERA with Kids春号」では、発達障害のタイプや学校での支援、家庭でのサポート方法などを専門家にうかがい、解説しています。(取材・文=玉居子泰子)

4/3(金) 11:30配信
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